仮に死ぬのも楽ではない?
今回の研究により、クマムシは凍結状態にあるときには寿命を消費しないことが示されました。
研究者たちも「凍っているときのクマムシは眠れる森の美女のように体内時計を止めている」と述べています。
ただ全ての凍結が同じような結果をもたらすわけではないようです。
今回の研究ではクマムシにとって理想的な凍結環境が整えられていましたが、凍結まで早すぎたり逆に時間がかかり過ぎる場合などでは、クマムシは仮死状態に移行するのに失敗して本当に死んでしまうことが知られています。
また研究では凍結と凍結の間に十分なエサを食べる時間が与えられていましたが、エサが不足している場合では、仮死状態になるのに失敗して死んでしまうことがありました。
実際、仮死状態の前後において、クマムシの体内でエネルギーを貯蓄している細胞(人間の脂肪細胞のようなもの)が大きく縮小していることも確認されています。
このことから研究者たちは、クマムシにとって仮死状態への移行はかなりのエネルギーを使うものだと結論しました。