より多くの高齢者を潜在的な臓器提供者にできる
累計年齢が100年に達した移植肝臓(1世紀肝臓)とそうでない移植肝臓(非1世紀肝臓)では何が違うのか?
謎を確かめるため研究者たちは1世紀肝臓を持つ患者たちに連絡をとり、採血などを介して生物学的なデータを採取し、その他との比較を行いました。
結果、「1世紀肝臓」では肝臓のダメージレベルの指標にもなる酵素「トランスアミナーゼ(ALTなど)」の血中濃度が低く、行われた移植手術の緊急性も比較的低かったことが判明します。
また確認された「1世紀肝臓」の全てが合併症などでは失われておらず、患者の全般的な生存率も有意に優れていました。
さらに移植の決定に使われる数学的モデルを使用して、年齢や病状など既知の条件で予想される移植成績を比較したところ「1世紀肝臓」が予測される値を大きく上回る寿命であることが判明。
この結果は、肝臓の寿命には既知の酵素や手術状況の他に、まだ知られていない未知の要因によって大きく変化し得ることを示します。
研究者たちは今後も「1世紀肝臓」の特性を調べ、移植成功率や肝臓の寿命にかかわる因子を調べていくとのこと。
もし条件を特定し人工的に再現することができれば、より多くの高齢者を潜在的な臓器提供者とすることが可能になるでしょう。