捕食者に似た「ロボットハヤブサ」は効果的に鳥たちを追い払える
航空機にとって、鳥との衝突「バードストライク」は深刻な問題です。
バードストライクによる被害は、世界中で毎年14億ドル(約2000億円)にものぼると推測されています。
そのため多くの空港では、鳥獣駆除の専門家が常勤で雇われているのだとか。
彼らは、車でのパトロール、スピーカーで「大きな音」や「鳥が嫌う音」を鳴らすなど、さまざまな防止策を用いてきました。
しかし、これらの防止策は「カラスとかかし」の関係と同じく、時間が経つにつれて効果を失います。
生きた猛禽類や目潰しレーザーを使うこともありますが、鳥を傷つけることになったり、猛禽類の訓練に高い費用が必要になったりと問題点も多いようです。
そこで研究チームは、本物のハヤブサを模した「ロボットハヤブサ」を開発し、野鳥たちを効率的に追い払えるかテストしました。
開発されたロボットハヤブサは翼幅70cm、重量0.245kgであり、外見・サイズ共に本物のハヤブサに似せています。
羽ばたくことはありませんが、2つの小さなプロペラによって翼を広げたまま時速48kmで飛行できます。
また頭部にはカメラが装備されており、地上のオペレーターがロボットハヤブサの目線で遠隔操作できるようになっています。
では、実際にロボットハヤブサはどれほど効果的に鳥たちを追い払うことができたのでしょうか?
クアッドコプター型ドローンや、従来の防止策(花火や大きな音)と比較したところ、ロボットハヤブサがより効果的だと判明しました。
ロボットハヤブサは、クアッドコプター型ドローンよりも多くの鳥を素早く追い払うことができ、鳥が再び着陸する回数も少ないと判明。
また、従来の防止策よりも長時間、鳥を遠ざけておくことができました。
3カ月間のテストでは、鳥たちがロボットハヤブサに慣れることもなかったようです。
さらに研究チームによると、「野鳥たちのロボットハヤブサに対する反応は、本物のハヤブサに対する反応と非常によく似ています」とのこと。
「鳥たちは捕食者である本物のハヤブサと、ロボットハヤブサを区別できていない可能性が高い」のです。
オーストラリア大学・シドニー大学(The University of Sydney)のジハオ・ワン氏は、「ロボットハヤブサの効果性はサイズにある」と推測しています。
もしかしたら、「本物のハヤブサに近いサイズ」という要素が、鳥たちを怖がらせるのに重要なのかもしれませんね。
さらに研究を進めるなら、より効果的なロボットハヤブサで、バードストライクを大きく減らすことも可能でしょう。