生まれ故郷に帰る「サケの遡上」とそれを阻む巨大ダム
サケの一生は驚くべき旅の連続です。
淡水の川で卵から孵化した稚魚は、やがて川を下り海へと向かい、2~5年かけて何千キロもの距離を回遊します。
そして成魚になると、自らが生まれた川を驚異の帰巣本能で正確に目指し、流れの急な川や滝をもさかのぼります。
この命がけの旅路が「サケの遡上(そじょう)」です。

サケの遡上の理由は、自らが生まれた川で産卵するためです。
群れを成して激流を何度も飛び跳ねて越える様子は、サケの力強さを表しており、見る人に感動を与えます。
日本では北海道や東北地方の河川において、秋から冬にかけてサケの遡上が観察されています。
しかしそんなサケたちの帰巣本能を阻む事態が生じてきました。
20世紀以降、人類は河川に大量のダムを建設しました。
アメリカのコロンビア川流域では50mを超えるダムも存在し、サケたちの旅路を完全に遮断しています。
これらがサケの個体数の激減や生態系の崩壊を引き起こす大きな要因となってきました。

そんな中、アメリカのシアトルに拠点を持つWhooshh Innovations社が提案したのが「Whooshh Fish Transport System」と呼ばれる装置です。
メディアなどでは、「鮭大砲(Salmon cannon)」という名で話題を呼んでいます。
名前だけを見るとかなり物騒ですが、一体どんな装置なのでしょうか?