女性が子どもを産んだあと、一時的に声が低くなることが最新の研究により明らかになりました。
サセックス大学の研究者らがおこなったこの研究では、出産前5年間と出産後5年間の、合計10年間にわたって女性の声の調査を実施。その結果、妊娠後に女性の声が一時的に低く、単調になることがわかりました。
https://www.ehbonline.org/article/S1090-5138(17)30269-6/fulltext
妊娠の1年後には声がもとに戻っているため、これが単に「老化」が原因でないことがわかります。原因としては「ホルモンの変化」が考えられます。以前の研究では、毎月の排卵日付近で声が高くなり、また閉経によって声が低くなるといった報告もあります。出産後には性ホルモンが急激に減少するので、これが声帯に影響を与えているようです。
また、別の要因として「性格の変化」も挙げられます。別の研究で、「低い声」のほうが「有能」で、「分別がある」とみなされることがわかっています。それを母親が無意識に感じ取り、「子育て」という新しいチャレンジに向けて変化を起こしたことが考えられるのです。
さらに、子育てからくる「疲れ」も要因の一つとして考えられます。手探りの子育て経験は、母親を精神的にも肉体的にも疲労させます。この疲労感により、高い声を出すための活力が減少していることも考えられます。
被験者である20人の女性の声のサンプルは、自然な他の大人との日常会話の中から録音されました。母親からの赤ちゃんへの声かけは、声が高くなってしまう傾向があるからです。また、研究では妊娠中よりも「出産直後」に最も声が低くなることも明らかになっています。
平均すると、ピアノでいう1.3半音の音程の低下がみられ、最も高い音に関しては2.2半音もの低下がみられました。また、音域の狭さも確認されました。つまり、妊娠後の女性の声は「低く、単調」になっていたのです。
この研究は、歌手や女優が妊娠後の声の変化に悩まされていた事実を発端に開始されました。たしかに職によっては「声の変化」が致命的となりえます。とはいえ妊娠による声の変化は一時的なので、あなたがどんな職に就いていたとしてもあまり思いつめる必要はなさそうです。
via: sciencedaily / translated & text by なかしー
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