直立二足歩行は地上でなく「樹上」で誕生した可能性が浮上!
直立二足歩行は地上でなく「樹上」で誕生した可能性が浮上! / Credit: Illustration by Arturo Asensio, via Quo.es(sci.news, 2022)
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直立二足歩行は地上でなく「樹上」で進化した可能性が高い?!

2022.12.16 Friday

人類を大いに飛躍させた最初のきっかけは、直立二足歩行の獲得です。

そのおかげで、地上での長距離移動や両手が空いたことによる道具の発明などが可能になりました。

しかし一方で、人類の祖先がいかにして直立二足歩行を獲得したのかは、いまだ解明されていません。

そんな中、英ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の最新研究により、直立二足歩行は、これまで考えられていた地上由来ではなく、「樹上」で最初に進化した可能性があることが示されました。

地上に降りたから二足で歩くようになったわけではないのかもしれません。

研究の詳細は、2022年12月14日付で科学雑誌『Science Advances』に掲載されています。

Early humans may have first walked upright in the trees https://phys.org/news/2022-12-early-humans-upright-trees.html Foraging in trees might have pushed human ancestors to walk on two feet https://phys.org/news/2022-12-early-humans-upright-trees.html Human Bipedalism May Have Evolved in Trees, Study Says https://www.sci.news/othersciences/anthropology/human-bipedalism-11482.html
Wild chimpanzee behavior suggests that a savanna-mosaic habitat did not support the emergence of hominin terrestrial bipedalism https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.add9752

直立二足歩行は「地上」と「樹上」のどちらで生まれた?

直立二足歩行は、ヒトを他の類人猿から切り離す大きな特徴です。

長年の間、直立二足歩行はヒトの祖先が樹上から降りて、地上生活に移行したことで誕生したと信じられてきました。

専門家はこれを「サバンナ仮説(savanna hypothesis)」と呼んでいます。

アフリカでは約1000万〜250万年前にかけて、気候変動により熱帯雨林が縮小し、木が少なく乾燥した開放的なサバンナが拡大しました。

するとヒトの祖先たちは、樹上での食料確保が困難になったことで地上での採集を始めます。

しかし、今までの四足歩行では、地上の背の高い草に隠れて周囲が見渡せないため、立ち上がった方が便利であり、また遠くから近づく天敵にも気づきやすくなりました。

こうした適応の中で、直立二足歩行が発達したと考えられているのです。

直立二足歩行は「地上」への適応の中で生まれた?
直立二足歩行は「地上」への適応の中で生まれた? / Credit: canva

その一方で、サバンナ仮説に疑問を呈する専門家も多くいます。

というのも、二足歩行に移行した時期の祖先の化石記録が限られていたり、あるいはそれに合致する化石でも、視界の開けたサバンナではなく、かつての密林地帯から見つかったりしているからです。

これを受けて、直立二足歩行は木々の上で獲得されたのではないかとする「樹上仮説(arboreal hypothesis)」も提唱されています。

樹上での二足歩行のメリットとして挙げられるのが、より高い場所や枝の先についた食物を採れるようになることです。

しかし、こちらの仮説もまだ推測の域を出ていません。

そこで研究チームは、どちらの仮説がより有力なのかを確かめるべく、野生チンパンジーを対象とした観察調査を行いました。

次ページ二足歩行は「樹上での食料採集」のために獲得された?

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