宇宙のオフィス・商業複合施設「オービタルリーフ」
人類は地球の外で暮らす方法を探し続けています。
ところが宇宙に到達したのは未だ600人ほどで、月面を歩いたのはたったの12人です。
そして現在、宇宙空間で生活し働いている人は15人未満です。
こうした現状を考えると、「人類が火星や月に移住する」「ガンダムに出てくるようなスペースコロニーで生活する」ことなど、夢のまた夢に思えるのも無理はありません。
とはいえ、進展がないわけはありません。
例えば、近年では民間人の宇宙旅行が実現しています。
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— 前澤友作@MZDAO (@yousuck2020) December 9, 2021
日本であれば、前澤友作氏の宇宙旅行と国際宇宙ステーション(ISS)での滞在が大きな話題を呼びました。
こうした傾向は、宇宙ビジネスに多くの経営者や企業が目を向けていることの証拠です。
そしてSierra Space社は、これら宇宙ビジネスの拡大をさらに加速させようと考えています。
彼らは現在、宇宙ビジネスの総合施設「オービタルリーフ(Orbital Reef)」の建設を計画中なのです。
オービタルリーフは高度402kmの低軌道にある多目的宇宙ステーションです。
国際宇宙ステーション(ISS)の軌道高度が408kmなので、ほぼ同じ位置にあると言えます。
ISSの目的が実験や研究、天体観測なのに対し、オービタルリーフの目的は、企業による研究開発、宇宙旅行者を対象にした商業、宿泊、観光など多岐にわたります。
地上のオフィスビルや複合商業施設と同じく、ビジネスオーナーたちがオービタルリーフの一部をリース契約したり購入したりして、「宇宙ホテル」や「宇宙での映画製作」など、独自のビジネスを展開できるというわけです。
Sierra Space社によると、「ここを訪れる人々は、宇宙ならではの仕事を行ったり、休憩中に宇宙空間を眺めながら食事を楽しんだりできます。リラックスするための緑地さえあるでしょう」とのこと。
オービタルリーフの誕生は、宇宙旅行者の増加だけでなく、宇宙で暮らしながら働く人が増加することを意味します。
もしかしたら近い将来では、海外出張と同じように、民間人の「地球外出張」があるのかもしれませんね。
それも調理師、農家、映画監督、ホテリエ(ホテルマン)、整備士、研究者などさまざまな職業が求められるのです。
こうした宇宙ビジネスの発展と競争は新たなニーズや技術を生み出すでしょう。
大きな観点では「火星移住やスペースコロニーの実現」を近づけるものとなるかもしれません。
では、オービタルリーフは本当に実現するのでしょうか?
既に他の宇宙ステーションが存在していることを考えると、技術的には問題ないのかもしれませんが、コスト面や運用面で未知数な部分は多くあります。
それでもSierra Space社は、「オービタルリーフ」と人々をそこまで運ぶ超音速スペースプレーン「ドリームチェイサー」について、「現在開発中」「今後10年以内に運用を開始する」と主張しており、本気の姿勢を見せています。
スペースプレーンは再利用可能な機体で、最大15回の往復飛行ができ12人の乗客を運ぶことができるとのこと。
莫大なコストがかかるこのプロジェクトが本当に実現するのか、今後10年間の進展を見守りたいものです。