アメリカ大陸に人類はいつ到達したのか?
アメリカの考古学会でホットな話題の1つが、「人類はいつこの大陸に到達したのか?」という問題です。
ほとんどの研究者は、約1万4000年前に当時は陸地で繋がっていたベーリング海峡を通って、アジア地域から北アメリカへ最初のホモ・サピエンスが到達したと考えています。
ところが、この説と矛盾する痕跡が南米に見つかっているのです。
それがブラジル北東部のピアウイ州にあるペドラ・フラダ洞窟(Pedra Furada)です。
ここにはかなり古代から人間が住んでいた痕跡が見つかっており、一部の研究者は最大で4万8000年近く前からこの洞窟を人類が使用していた可能性があると主張しています。
もしこれが事実だとすれば、アメリカ大陸に人類が到達した年代は修正されなければなりません。
ペドラ・フラダ洞窟に4万8000年も前から人類が居住していたとする証拠の1つは、洞窟付近で見つかった木炭の残骸でした。
しかしこの木炭については、自然災害が生んだものであり、人間が使用した痕跡ではない可能性が指摘されています。
そしてもう1つ重要な証拠と見られているのが、「古代の石器」の発見です。
これは地元産の石英や珪岩(けいがん)の丸石から作られていて、最も古いものは「5万年前」に作られたと推定されているのです。
そのため、一部の考古学者たちは、これが「5万年前にはすでに人類がペドラ・フラダ洞窟に住んでいた証拠」だと主張してきました。
ところが2016年のある発見により、この説がぐらつき始めました。
イギリス・オックスフォード大学(University of Oxford)の研究で、ブラジル北東部に生息するオマキザルが石をハンマー代わりに使用して石器のようなものを作ると報告したのです。