「5万年前の石器」を作ったのは現生種のサルだった?
オックスフォード大学の報告によると、ペドラ・フラダ洞窟周辺のオマキザルは岩場で適切なサイズの丸い石を選ぶと、これを持ち帰りハンマーのように使用して、大きくて平らな岩の上に乗せたナッツを割っていたといいます。
そしてその過程で使用している石が破損し、人間が用いる石器のような形の岩片が生成されていたというのです。
オックスフォード大の報告から、南米に人類が到達した年代の考え方は再びぐらつき始めました。
同じ地域で発見された5万年前の石器は、人間が作ったものではなくサルが使用した石の残骸の可能性が出てきたのです。
そこで今回、アグノリン氏ら研究チームは、オマキザルが使用した石や岩と、ペドラ・フラダ洞窟で発見された「古代の石器」を比較したところ、両方の特徴が一致したのです。
アグノリン氏は、次のように述べています。
「ペドラ・フラダ洞窟で見つかった石器は常に、砕けた小石、ギザギザの岩の破片で構成されており、その他の加工された道具は一切見つかっていません。
そしてこれらの石器の特徴はすべて、オマキザルが今日ナッツを割る際に使用した岩の破片と見分けがつかないのです」
加えて他の専門家たちは、南米に人類が定住した時期を疑うペドラ・フラダ洞窟を含むブラジルの遺跡の堆積物には、囲炉裏や食事の痕跡など、人間の存在を示す証拠が一切含まれていないことを指摘しています。
今回の研究についてアグノリン氏は、5万年前の「古代の石器」は人類の証拠ではなく、サルの活動の産物だった可能性が非常に高く、人類が南米に定住した時期は約1万4000年前だったとする研究を補強するものだと結論しています。