井戸の中はどうなっている?
泉の内部は、ヤコブの井戸探査プロジェクト(Jacob’s Well Exploration Project)の調査により、かなり多くのことが分かっています。
まず、川底の直径約4メートルの開口部から垂直に10メートルほど降りていくと、そこから横に水中洞窟が広がっています。
洞窟内は2本の主要な通路からなっており、1本目は約1300メートル、2本目は約300メートルの長さがあるとのこと。
ただその通路の途中には、分岐点や細い通路、小さな空間が入り乱れており、地下迷宮のような様相を呈しているといいます。
そのため現在は、ライセンスを持ったプロのダイバーだけが穴の先の水中洞窟の探検を許可されています。
こちらはダイバーが穴から洞窟付近まで降りていったときの様子。
これを見れば、井戸の中のおおよその概観がつかめるでしょう。
しかしこれ以前には、ヤコブの井戸に入ったダイバーが命を落とす事例がいくつも報告されていました。
公式に知られている限りでは、1964年から1984年の間に9人(男性8人と女性1人)が死亡しており、2000年までに他にも死亡者や行方不明者が出ているという。
この地域を訪れる人の割合からすると非常に多いため、いつしか「世界で最も危険なダイビングスポット」と呼ばれるようになりました。
死亡者の中には、洞窟内の隙間から出られなくなったり、狭い空間に閉じ込められた状態で見つかった例もあります。
実際、ヤコブの井戸の中で命を落としかけて、九死に一生を得た映像が残されていました。
こちらのビデオは、テキサス州サンアントニオ出身の男性(21)が井戸の中ででフリーダイビングをしたときのものです。
映像内では、洞窟内で片方のフィンを落としてしまい、水面に戻るためウエイトベルトを切り離す瞬間が記録されています。
焦りと息切れから来る呼吸音の乱れが、とても生々しく録音されています。
男性は当時を振り返って「一瞬、死が自分の眼前に迫っているのを感じた」と話しています。