世界で最も速いクワッドコプター「XLR V3」がギネス記録を樹立
近年、ドローンの性能はますます高まっており、操作性や速度に特化したドローンも誕生しています。
例えば、ドローンを操作してコースを周回する「ドローンレース」では、150km/hを超える速度でドローンたちが飛行します。
動画を見るだけでもドローンが驚異的なスピードで飛行できると分かりますね。
そしてこれよりもさらに速いドローンも存在します。
2022年11月8日、エンジニアのレイドマン氏が開発したドローン「XLR V3」が世界最速のギネス記録を樹立したのです。
そのギネス記録とは、「バッテリー駆動の遠隔操作クワッドコプターにおける最高速度」でした。
ドローンでは、4つの回転翼をもつクワッドコプター型が一般的ですが、操縦士にコントロールされた同タイプのドローンが世界最高速度を出したのです。
その数値はなんと360.503km/hでした。(ちなみに2017年の時点でギネス記録は263km/h)
下の動画はその時の映像です。(地上から遠く離れているため、分かりにくい部分があります)
現在、F1レース中に到達できる最高速度が約350km/hであることを考えると、XLR V3がどれほど速いスピードで飛行したか理解できますね。
以下は300km/h以上で走行するF1マシンの動画ですが、非常に小さなドローンがこれらF1マシンよりも遥かに速いのです。
ちなみに、ギネス記録となった「ドローンの最高速度」は、風の影響を排除するため、2方向に飛行した記録の平均が取られました。
1度目は風下に向かって飛行し、2度目は真逆方向である風上に向かって飛行するのです。
そして、それぞれで「100m区間における平均速度」を出し、その2つ(風上方向と風下方向)を平均化したものが、「最高速度」と判断されました。
そのためこの時に記録された瞬間最高速度はさらに高く、414km/hという驚異的な数値でした。
ではXLR V3は、どのようにギネス記録を達成したのでしょうか?
ラッドマン氏は2016年以来開発を続け、特殊な形状のドローンにたどり着きました。
通常のクワッドコプターのような「平らな胴体と4つの回転翼」スタイルではなく、ロケット後部に回転翼を付けたような形状にしたのです。
そのため発射時は実際ロケットのようにスタンドが必要であり、上昇した後もロケット先端を進行方向に向けなければいけません。
それでも速度に特化した独自のスタイルと490gという軽さで、XLR V3はギネス世界記録を樹立しました。
XLR V3はラッドマン氏によって設計・3Dプリントされた機体ですが、使用されている電子部品はすべて既製品であり、FPVゴーグル(ドローン視点の映像を受信するゴーグル)を含めて400ドル(約5万1300円)で購入できるようです。
材料費だけを考えると、ギネス記録に挑戦するためのハードルは低めだと言えます。
あなたがドローンを愛するマニアならば、次に世界最速のドローン「XLR V3」の記録を破るのはあなたかもしれません。