細胞はすべて同じじゃない!
人間や動物、植物などすべての多細胞生物は、様々な役割を持った細胞によって構成されています。
もともとは1つだった生物たちの細胞は、分裂して数が増えるとそれぞれ役割を持った細胞に変化します。
この細胞の変化を「分化」と言い、分化した細胞たちはそれぞれの役割に合わせた機能を持っています。
細胞分化の研究に使われるヒドラ
淡水産の刺胞生物であるヒドラは体の構造が単純であり、飼育も容易である上、その再生力の強さから細胞分化のモデル生物としてよく用いられています。
ヒドラには岩などに体を固定するための足盤とエサをとらえるための触手があり、足盤と触手では同じ表皮細胞であっても全く機能が異なります。
例えば、周囲の環境に付着できるようにする粘液を分泌するという機能は足盤の表皮細胞にしかありません。
再生力の強いヒドラは足盤が欠損しても新たな足が形成され、再生します。
その際、触手の表皮細胞が役割を替えて、足盤の表皮細胞へと変化するのです。
ジュネーブ大学とフリードリッヒ・ミーシャー生物医学研究所の共同研究チームは、このヒドラの表皮細胞の役割の変化がどのように起こっているのか調査しました。