「北欧神話」はいつ頃から語り継がれているのか?
北欧神話は元々、古代〜中世にかけて中欧からスカンディナヴィアに住んでいた「ゲルマン人」の信仰や伝説にもとづく神話の一種として誕生しました。
専門家によると、ゲルマン神話は紀元前1000年から紀元前後までには間違いなく作られていたという。
そこから北欧の人々が1世紀〜4世紀の間に自分たち自身の神話を作り上げ、北欧神話が徐々に形作られたと言われています。
しかし、それまで断片的だった北欧神話が体系的にまとめられたのは8〜10世紀頃とされ、さらに現存する文字記録の大部分は13世紀に作られたものとされます。
アイスランドの詩人スノッリ(1178〜1241)が13世紀に北欧神話をまとめた詩集『エッダ』を編纂し、これが今日に伝わる北欧神話の元になっています。
このあたりから北欧神話は正式に文字として残されるようになりました。
北欧神話は主に最高神であるオーディンを中心とした物語で、神々と敵対する悪魔との対立を描き、「終末の日」いわゆる「ラグナロク」において両者の最終決戦が行われ、世界が崩壊すると伝えられています。
こうした話は今日のゲームやアニメにも着想を与えていますが、一方で、神々の王であるオーディンがいつ頃から人々の中で語られ始めたのかはよく分かっていませんでした。
ところが、2020年にデンマーク西部イェリング近郊にある村ヴィンデレフで重大な発見がなされます。
およそ1500年以上前に地中に埋められたと見られる黄金で作られたブラクテアートが大量に出土したのです。
これらは同国で見つかった最も美しい宝物群のひとつであることから「ヴィンデレフの宝庫(Vindelev Hoard)」と呼ばれています。
専門家らは「敵から隠すためか、あるいは神々を鎮めるための貢物として埋めたのではないか」と考えています。
そして今回、デンマーク国立博物館の新たな調査で、このブラクテアートの一つに驚きの秘密が隠されていたことが発覚したのです。