「二重ポット式冷蔵庫」が砂と水で食料を冷やせる理由
この冷蔵庫は、気化熱による冷却効果を利用しています。
気化熱とは、水が液体から気体に変わる際に使用される周囲のエネルギーのことであり、水が蒸発するときには、周囲の熱を奪って温度が下がります。
例えば、汗の蒸発で体温が下がったり、地面に打ち水することで涼しくなったりするのも気化熱による冷却効果が関係しています。
同様に、二重ポット式冷蔵庫の砂を常に湿らせておくと、その水分が蒸発する際、鍋の中の食物を冷やすことができるのです。
当然ながら、水が蒸発しなければ冷却されないので、蒸発しにくい湿度の高い気候ではうまく機能せず、対照的に、風通りがよく乾燥した気候では高い効果が見込めます。
冷却効果の程度は環境によって異なりますが、望ましい環境では、鍋の中を4.4℃まで冷却することが可能です。
そしてここまで温度が下がると、食中毒細菌の増殖はかなり抑制されます。
発展途上国で活動する慈善団体「Practical Action」のCEOポール・スミス・ロマス氏によると、「二重ポット式冷蔵庫を使えば、食料を10倍長持ちさせられる」とのこと。
また「種類にもよりますが、野菜を3~4週間新鮮に保たせることも可能」なのだとか。
電化製品に囲まれて生活している私たちが二重ポット式冷蔵庫を使うことはめったにありませんが、いざという時のために、作り方を覚えておくと良いかもしれません。