・幻覚を引き起こす「LSD」や「MDMA」といったドラッグに「うつ症状」改善の効果が確認された
・ドラッグによって、脳内の情報伝達が活性化することが精神疾患に効果的な要因である
・「ケタミン」とう麻薬が「抗うつ剤」として注目されてきたが、この研究により他のドラッグも実用化の可能性がある
幻覚症状を引き起こすいわゆる「危険ドラッグ」である「LSD」や「MDMA」が、脳細胞をつなぐ機能の活性化を促し、うつなどの症状に効果的である可能性が示されました。
これは、多くの国では禁止されているこれらの薬物が、精神疾患の「次世代治療薬」となりうることを意味しています。しかも、既存の治療よりも安全かつ効果的であるというのです。
https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(18)30755-1
「うつ」症状を持つ人の脳内では、樹状突起の萎縮がみられます。樹状突起には他の神経細胞との間のシナプスが多く存在しており、そこで情報伝達がおこなわれることで、全ての脳活動が支えられています。樹状突起は思考ネットワークでもあるため、これが萎縮したうつ病の人は、思考能力が著しく低下してしまうというわけです。
今回の研究では、マウスの脳細胞の樹状突起が、「LSD」や「MDMA」の投与によって増加していることが確認されました。
研究を率いたデビッド・オルソン博士は、「人々はずっと前からそのような “ドラッグ” に脳の神経構造を変える力があることを実感していました。そしてこの研究が初めて、その仮説を支える科学的な根拠を示しているのです」と語っています。
現在「抗うつ剤」としてイギリスなどで承認されている麻薬に「ケタミン」があります。しかし、この研究によりケタミンだけでなく様々な「ドラッグ」に「うつ」の症状を改善することができる可能性が示されたのです。さらに、これらの薬物がケタミンよりも安全で効果的であることも考えられます。
日本では「危険」なイメージしかないこれらの「ドラッグ」。確かに使用法を間違えば人を闇に陥れる危険なものですが、それはあくまでもドラッグの「側面」であり、使い方によっては素晴らしい効果を発揮する「よく切れるナイフ」のようなものなのです。
via: independent / translated & text by なかしー
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