AIはポジティブな言葉で励まされると「成績」が上がる
今回の研究では質問や命令書に該当する部分について、どんな言葉がより良い結果になるかも調べられました。
すると驚くべきことにAIに対するポジティブな励ましを含む言葉がAIの回答精度を大きく引き上げていることが判明しました。
たとえば
「深呼吸をして、一歩一歩この問題に取り組んでください」
「(問題を)やっつけちまおうぜ!」
「ちょっとした算数と論理的なアプローチが、この問題の解答を素早く導き出すのに役立ちます」
「数的処理能力と明晰な思考力を組み合わせて、素早く正確に答えを読み解こう」
「計算しようぜ」
といった、何気ない言葉です。
すると驚くべきことに、ただ「実行せよ」と言うのに比べて、AIのパフォーマンス(答えの正確さ)に劇的な上昇がみられたのです。
これは何を意味しているのでしょうか?
我々人間から見れば、これらの指示は似たような意味を持っています。
電卓でも念を込めてイコールを押しても、適当にイコールを押しても計算結果に違いはないでしょう。
しかし、人間の脳を模したニューラルネットを持つ会話型AIでは、それらを異なる指示として捉えて反応しているのです。
ここに、AIの内部の動きや思考プロセスの複雑さが見えてきます。
AIは文字通りの意味だけでなく、与えられた指示のニュアンスや背景にも反応する可能性があり、そういった部分で励ますような言葉が、モデルの精度向上に繋がるのかもしれません。
もしかしたらAIの内部処理において、肯定的な言葉や励ましの言葉が特定の活性化を促進し、より適切な回答に結びつくのかもしれません。
今回の研究は、ニューラルネットの動作原理や構造についての深い理解をさらに進める手がかりとなるでしょう。