1938年から水族館暮らしを続けている
ハイギョの起源はとても古く、約4億年前のデボン紀には地球上に出現していました。
現存する魚の中で最古参となっており、シーラカンスと共に”生きた化石”と呼ばれています。
魚は普通、エラ呼吸によって水中に留まり続けますが、ハイギョは成長するにつれて肺を発達させるため、数時間ごとに水面に出て息継ぎをしなければなりません。
今回話題となっているメトセラの属する「オーストラリアハイギョ (学名:Neoceratodus forsteri )」は、非常に代謝率が低く環境への適応力が高い、独特の生態を持っており、非常に長寿であることで知られています。
自然界でも平均10〜20年以上、飼育されている個体では50年以上生きたとされる個体の報告があります。
また、オーストラリアハイギョは肺呼吸とエラ呼吸の両方を行うことが出来、基本的に水質が良く酸素の豊富な場所ではエラ呼吸を行い、水質が悪く酸素濃度が低下すると肺呼吸へ切り替えます。
これが非常に環境適応力が高いとされる理由でもあり、飼育下では基本的にエラ呼吸で生活しています。
さて、今回の主役であるメトセラは1938年11月に米マトソン航行会社の定期船にのって、カリフォルニア州にあるスタインハート水族館(Steinhart Aquarium)に到着しました。
1938年というと、まだ第二次世界大戦も始まっていない時期です。
メトセラは当初、フィジーとオーストラリアで捕獲された231匹の魚と一緒にやって来ましたが、他のどの魚よりも長生きし、ついには同館で最も長寿かつ人気の魚となりました。
現在のサイズは全長1.2メートル・体重11キロとオーストラリアハイギョの一般的なメスと同等ですが、お腹を地面に擦るユニークな行動を取るそうです。
年齢に見合わず食欲旺盛で、飼育員から手渡しでエサをもらう姿が子供のように愛らしく、その姿を見るたびにメトセラの実年齢が分からなくなるといいます。
同館のチャールズ・デルベック(Charles Delbeek)氏は「メトセラが1930年代後半に水族館に来たことは確かですが、当時は年齢を測定する技術がなかったため、科学的根拠に基づいた正確な年齢は不明でした」と話します。
そこで研究チームは、最先端のDNA検査を用いて、メトセラの年齢を割り出すことにしました。