地球最初の自然火災はいつ?
これまでの化石研究で、約4億7000万年前のオルドビス紀には、植物が海から陸へ移動したことが分かっています。
さらに光合成をする植物は大気中の酸素濃度を10〜15%以上にまで高めることにも寄与しました。
ここまでくると、自然火災に必要な「酸素・燃える物・熱源」の3つの条件が十分に出そろったことになります。
そして現在、人類が知っている最初期の自然火災の証拠は、約4億2000万年前のシルル紀に遡ります。
イギリスのシルル紀地層から火に焼かれた木炭の化石が発見されたのです。
この頃には、地球上に自然火災が確実に発生するようになっていたと断定されています。
過去4億年の酸素濃度の移り変わり
他方で、先のエクセター大の研究が示すように、自然火災の規模や頻度は大気中の酸素濃度に大きく左右されるのものでした。
そこで英ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ(RHUL)の研究者が過去に、自然火災が起こり始めてからの約4億年間の酸素濃度の変遷を調べています。(Nature Geoscience, 2010)。
その結果、シルル紀以降は酸素濃度が一貫して上昇をつづけ、特に約3億8300万年前のデボン紀には自然火災が頻繁に起こり始めたことが判明。
さらに石炭紀(約3億5900万〜2億9900万年前)、ペルム紀(約2億9900万〜2億5200万年前)、白亜紀(約1億4500万〜6600万年前)は酸素濃度が高く、そのほとんどの期間で26%以上に達していると推定されました。
おそらく、この時期が地球で最も自然火災の過酷だった頃と見られます。
一方で、ペルム紀とジュラ紀の間にあたる三畳紀の前〜中期(約2億5200万〜2億2000万年前))は酸素濃度は非常に低く、現在よりも低い20%以下にまで低下しています。
この時期は自然火災があまり起きなかったか、小規模だったと推定されています。
そして白亜紀以降は、恐竜時代の終焉と重なるように酸素濃度も下り坂になり、26%から21%へと着実に低下していきました。
この数値は過去5500万年間でほとんど変動しておらず、現在に至っているようです。
山火事のニュースは世界各地から報道されており、火災は私たちが特に恐れる身近な災害の1つです。
しかし、それは宇宙全体で見ると地球ならではの珍しい現象と言えるのです。