「後で伝えるつもりで秘密にしておく」ことは、自分自身を一層ワクワクさせる
ただ、こうした良いニュースの秘密は、ずっと秘密として持っておくだけでいいのでしょうか?
追加の実験では、「良いニュースを秘密にした後、パートナーに伝えることができるケース」と「秘密にしたまま伝えることができないケース」を想像してもらい、同様に心理学的指標を用いて参加者の気分を評価しました。
その結果、参加者たちは前者の方がより元気づけられることが示されました。
このことから、良いニュースを秘密にする効果とは、単に「隠しておく」ことが重要なのではなく、「伝える場面を思い浮かべる」ことが、その人の幸福度を向上させていると分かります。
もちろん、状況によっては「結局伝えられないまま終わる秘密」もあるかもしれません。
しかし、結果的にどうであろうと「後で人に教えるつもりで嬉しい秘密」を持っておくことが、人に大きな活力を与えるようです。
「いつ打ち明けようか」「どんな反応をするだろうか」とワクワクすることが、その人をいっそう生き生きとさせるのです。
研究チームは、「ポジティブな秘密は、その人自身の欲求や願望によって自発的に守られる」ことも発見しました。
これは、外圧・恐怖・恥ずかしさによって、言いたくても言い出せない状況にある「ネガティブな秘匿」とは対照的です。
良いニュースに対する秘密主義は、その人自身のポジティブな感情を刺激し、良い影響を与えるのです。
ちなみに、2023年7月の上智大学の研究では、「サプライズをしても相手の喜びや感謝の度合いは高まらない」と報告されています。
このことからも、ポジティブなニュースをあえて秘密にする(サプライズを仕掛ける)ことは、「相手を喜ばせる」というよりも「自分自身の活力」のためのものだと分かりますね。
もし、良いニュースを見つけたり、楽しいイベントを計画していたりするなら、自分のために、しばらく秘密にしておくのがいいようです。
きっとあなたはその間、いつもより幸福感に満ち、ワクワクした日々を送ることができるでしょう。