一番最後に簡単な仕事をこなすと楽に感じる「簡単負荷効果」
一番最後に簡単な仕事をこなすと楽に感じる「簡単負荷効果」 / Credit: Unsplash
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一番最後に簡単な仕事をこなすと楽に感じる「簡単付加効果」

2023.11.29 Wednesday

仕事終わりに簡単なタスクをこなすことで全体を通して楽だったと感じるようです。

米国のバージニア工科大学のエドワード・ライ氏(Edward Lai)らの研究チームは、簡単なタスクを行うタイミングを実験的に操作し、行なった作業の難易度や満足感の評価が変わるかについて検討しました。

実験の結果、作業の最後に簡単なタスクを行った方が全体的に作業の難易度が簡単で、疲労感が少ないと感じる傾向が確認されました。

この現象は「簡単付加効果(The easy addendum effect )」と呼ばれています。

研究チームは「簡単付加効果を使えば、日々の活動をより簡単だと感じることができるかもしれない。面倒なタスクを楽な感覚で終えることで、満足度やモチベーションが増加する可能性が考えれる」と述べています。

研究の詳細は、学術誌「The Journal of applied psychology」にて2023年7月27日に掲載されました。

The ‘easy addendum effect’: how careful timing of your easier tasks could help you feel better at the end of the day https://psyche.co/ideas/facing-a-tedious-to-do-list-this-trick-could-make-it-easier
The easy addendum effect: When doing more seems less effortful https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37498712/ Task Selection and Workload: A Focus on Completing Easy Tasks Hurts Long-Term Performance https://dl.acm.org/doi/10.1287/mnsc.2019.3419

最初に取り掛かるのは難しいタスクか、簡単なタスクか

最初に取り掛かるのは難しいタスクか、簡単なタスクか
最初に取り掛かるのは難しいタスクか、簡単なタスクか / Credit: Unsplash

作業に取り掛かる時、難しいタスクと簡単なタスクのどちらから手を付けますか。

難しいタスクから手を付けると、他の細々した作業が疎かになりそうですし、簡単なタスクから手を付けると、難しいタスクに手を付けないままになってしまいそうです。

近年の研究では、作業はじめに簡単なタスクをこなす方が仕事が捗るとの結果を報告しています。

米国のアメリカのハーバード・ビジネス・スクール(HBS:ハーバード大学の経営大学院)のフランセスカ・ジノ(Francessca Gino)らの研究チームは、タスクをこなす順番を実験的に操作し、タスクの達成量を比較しています。

実験の結果、朝に一日のタスクを書き出し、簡単なタスクから作業を進めた人は、集中力が長く続き、仕事への満足度も高くなりました。

なぜなら簡単なタスクをこなすと、その時点で大きな達成感を得ることができ、脳内にドーパミンが放出されるからです。ドーパミンには注意力やモチベーションを高める作用があるため、簡単なタスクをこなすと、その後の集中力が高まるというわけです。

しかし仕事の効率化に関するビジネス書を開いてみると、「難しい作業を先にこなす」ほうが良いとのアドバイスが散見されます。

この手の本として有名なのは、ブライアン・トレーシー著の「カエルを食べてしまえ!」でしょう。この本では「難しく重要なタスク」をカエルに見立て、朝一番にそのタスクをこなすべきであるとの主張をしています。

これは最初に難しく重要なタスクを行うことで、どうでもいいタスクに時間が謀殺されることなく、本当に重要なタスクに時間を投入できるという考えです。

難しく重要なタスクを脇に置き、重要でない、簡単なタスクをこなそうとする先延ばし現象は「達成バイアス」と呼ばれています。

作業に取り掛かる前に、部屋の掃除やメール・チェックをしたりなど、手近なタスクに集中力を使ってしまった経験は多くの人に心思い当たりがあるのではないでしょうか。

この達成バイアス(先延ばし)を回避し、最初に重要なタスクを終わらせるべきとする主張は、一見説得力があるように思えます。

たしかに難易度が高く、集中力を要するタスクを疲れていないはじめに終わらせてしまえば、あとは余裕をもって作業に取り組めそうです。

そこで米国のバージニア工科大学のエドワード・ライ氏(Edward Lai)らの研究チームは、「カエルを食べてしまえ!」の主張を検証する研究を行いました。

その結果は、どうなったのでしょうか?

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