日本画家・村瀬義徳による「アイヌ熊祭屏風」、イオマンテでヒグマに矢を射ている場面である
日本画家・村瀬義徳による「アイヌ熊祭屏風」、イオマンテでヒグマに矢を射ている場面である / credit:wikipedia
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アイヌ民族の神聖な儀式!イオマンテとは何なのか?

2023.12.28 Thursday

漫画「ゴールデンカムイ」などで取り上げられていることもあり、近年注目を集めているアイヌ民族ですが、独自の風習が多くありました。

その中でも有名なのが「イオマンテ」であり、先述した「ゴールデンカムイ」の作中にも登場していましたが、果たしてイオマンテとはどのような風習なのでしょうか?

本記事ではイオマンテについて紹介しつつ、それが行われていた理由について取り上げていきます。

なおこの研究は『昭和女子大学大学院生活機構研究科紀要 』に詳細が書かれています。

イオマンテの特徴に関する研究―その地域的比較- | CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/crid/1050001202934550272

ヒグマは神の化身、狩猟で捕獲したら神に感謝する

エゾヒグマ、現在こそ人間を襲う害獣として認識されているが、アイヌ民族は山の神として神聖視していた
エゾヒグマ、現在こそ人間を襲う害獣として認識されているが、アイヌ民族は山の神として神聖視していた / credit:wikipedia

アイヌ民族は主にアニミズムを信仰しており、とりわけ彼らが狩猟の対象としている動物を神聖視していました。

特にヒグマは「山の神」であるキムンカムイとして崇められており、「神が肉と毛皮を携えて人間界に現れた姿」として捉えていたのです。

そのため普段の狩猟でヒグマを手に入れた際は、「自分を選んで現世にやってきたこと」に感謝の祈りを捧げ、頭骨に飾りをつけて祀っていたのです。

一方で、ヒグマだったら無条件で祀っていたわけではなく、例えば人間を傷つけたヒグマは悪い神と見なされました。

そのため狩猟の際にヒグマによって仲間が重傷を負った場合は頭骨を祀らず、逆に人間を殺したヒグマを捕まえた際は切り刻んでそのまま放置し、肉や毛皮を利用することはありませんでした。

次ページ一定期間愛情をこめて育てたヒグマを盛大に見送るイオマンテ

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