「史上最低」と言われた伝説のカルト映画
皆さんは、世界中で”史上最低の映画(Worst Movie of All Time)”という悪しきレッテルを貼られた伝説のカルト映画をご存じでしょうか?
1978年、アメリカの映画評論家であるマイケル・メドヴェッドは、映画史上もっとも欠陥のある作品群をまとめた『The Fifty Worst Films of All Time(=史上最低の映画50本)』を出版しました。
しかし本の出版後、メドヴェッドは著名な映画評論家であるロジャー・イーバートを含む多くの識者から、「あの作品が抜けてるぞ」との指摘を受けました。
それが1959年公開のSFホラー映画『プラン9・フロム・アウタースペース』です。
この作品はアメリカの映画監督であるエド・ウッド(1924〜1978)が手がけた作品で、「外宇宙からやってきた宇宙人が地球征服を企むもうまく行かないので、仲間を増やせとばかりにゾンビや吸血鬼を造る… 」という話です。
日本でもレンタルや市販のDVDで簡単に観れますが、ご覧になった方はお分かりの通り、UFOを吊ったピアノ線がもろに見えたりとB級ならではの作りの甘さが目立ちます。
メドヴェッドは本作を鑑賞後、つづく著作の『Golden Turkey Awards(=ゴールデン・ターキー賞)』にて、『プラン9・フロム・アウタースペース』こそ、史上最低の映画の名にふさわしいと高らかに宣言しました。
これが世界中に浸透したことで、悪しきレッテルが一般にも定着してしまったのです。
ところが、この評価が広まると同時に、本作を熱狂的に支持するファン層も現れ始めました。
『シザーハンズ』『チャーリーとチョコレート工場』の監督でお馴染みのティム・バートンもその一人です。
彼は『プラン9〜』の監督であるエド・ウッドを敬愛するあまり、1994年に自らの手で、そのものずばり『エド・ウッド』というタイトルの伝記映画を撮りました。
主演はバートン作品に欠かせない人気俳優のジョニー・デップが務めています。
このエド・ウッドという人物自身、「アメリカで最低の映画監督」と言われており、映画へのほとばしる情熱を持っていましたが、残念ながら映画の方から愛されることはありませんでした。
しかし没後に、上映権を安く買われた彼の作品が深夜テレビの映画枠で繰り返し放送されたことで、カルト的な人気が出始め、一部で再評価の波が広まったのです。
こうして彼の代表作である『プラン9〜』は今や、世界で最も評価が二極化している映画作品とみなされるようになっています。
そこでStat Significantの調査チームは、賛否両論を巻き起こしやすい映画の特徴を調べることにしました。