節目は過去の失敗との決別できる
ヘンチェン・ダイ氏(Hengchen Dai)らは後続の研究で「フレッシュ・スタート効果」のメカニズムについて検討するため実験を行っています。
彼らはオンラインで募集した参加者165名を以下の2つのグループに分け、近いうちに達成したい個人的な目標を立て、行動を促すリマインダーをいつ受け取るのかを決めてもらいました。
統制群:3月18日(火)から24日(月)の間でリマインドメールを受け取る日を決める
実験群:3月18日(火)から24日(月)の間でリマインドメールを受け取る日を決める。リマインドを受ける日にチェックをつける紙に「3月20日(木)は春が始まる日です。」というハイライトがついている
実験の結果、20日が「春が始まる日」であることを知った人は、知らなかった人と比較して、目標を達成するための行動をその日に始めるためにリマインダーを受け取るよう設定する傾向がありました。
どうやら私たちは「特別な日」だと思うとその日に目標を達成するための行動を起こすモチベーションが高くなるようです。
また後続の実験では、オンラインで募集した参加者300名を以下の2つのグループに分け、まだ達成していない目標を思い浮かべた後に、①新しい都市に初めて引っ越した日を想像する人と、②何回も引っ越しを繰り替えし、9回目になる日を想像する人の2つのグループに分けました。
そして過去の自分と比べ、現在の自分が過去の自分(特に過ちや失敗がする自分)と比較して、どれくらい心理的に離れているのかと、引っ越した後にどれほど目標達成のための行動を起こすやる気があるかを回答しています。
実験の結果、9回目の引っ越しをした日を想像した人と比較して、初めて引っ越しをした日を想像した人は、過ちや失敗をした過去の自分とは心理的な距離が遠く感じ、目標に向けて行動を起こすやる気が高いことが確認されました。
これらの結果から、新しい週や四半期の始まり、誕生日をはじめ、引っ越した初日などの節目となりうる日付は過去の失敗や不完全さから精神的に分離させ、モチベーションを高めるのに寄与する可能性が考えられます。
研究チームはこの節目を「時間的なランドマーク」と呼んでおり、「新たな気持ちでスタートを切ることで、過去の失敗と決別し、ポジティブな目標に向かって行動する機会も増える。」と述べています。
「フレッシュ・スタート効果」の興味深い点は、新年や月初めなど明確な区切りではなく、「春の初めの日」などの特別な意味づけをされた場合にも、やや効果は下がりますが目標達成のモチベーションが高まるところです。
つまり新たに何かを始めたい場合には、明日を「自分が決心をした」特別な日を定めて行動に移すもありだということです。
なので元旦でもいいですし、過去の自分と決別できるのにふさわしい日を「時間的なランドマーク」と定め、目標達成に向けた再出発の機会としてみるのも何かを始めるのによい機会になるでしょう。