イランで「尻尾がクモの形をしている」珍しいヘビが発見される

スパイダーテイルドクサリヘビ(学名:Pseudocerastes urarachnoides)は、ツノメクサリヘビ属(Pseudocerastes)の仲間であり、「幅広くて平らな頭」や「目の上にある角のような鱗」を持っています。
これらの特徴は同じツノメクサリヘビ属であるペルシャツノクサリヘビ(学名:Pseudocerastes persicus)と共通しています。
そのため1968年、スパイダーテイルドクサリヘビの個体が最初に発見された時には、新種ではなくペルシャツノクサリヘビだと考えられていました。
他のペルシャツノクサリヘビにはない「奇妙な尻尾」を持っていましたが、科学者たちは「何らかの腫瘍か、寄生虫の影響でそのような形になった可能性がある」と考えていたのです。

この珍しいヘビの標本はアメリカのフィールド自然史博物館に寄託されましたが、その存在は35年間ほとんど忘れられていました。
ところが2003年、同じく奇妙な尻尾を持つツノメクサリヘビ属が発見されました。
その後、同様の特徴を持つ個体が複数存在することが確認され、2006年には新種「スパイダーテイルドクサリヘビ」として認められました。
(詳細は、2006年のハミド・ボスタンキ氏らの論文を参照)

スパイダーテイルドクサリヘビの尻尾には、「小さな組織の塊」が付いており、その組織の両側から複数の細長い「蔓」もしくは「ひげ」のようなものが伸びています。
その見た目は、まるで本物のクモのようです。
ただしこの時点では、スパイダーテイルドクサリヘビが、その特殊な尻尾をどう役立てているのか分かっていませんでした。
確認できたのは、いくつかのスパイダーテイルドクサリヘビの胃袋には、鳥の死骸が詰まっていたということだけです。