ほとんど目に見えない超拡散矮小銀河「ぬーべー」
新しく発見された銀河「ぬーべー」は、スペイン語で雲を意味する「nube」から取られています。
この名前は、まるで雲のように拡散した外観と、研究者の5歳の娘の提案によって名付けられました。
銀河ぬーべーは、一般的な銀河と比べて非常に暗く、大きな範囲に広がっており、まるで「薄い雲」または「幽霊」のような存在だったため、これまでの様々な観測では発見されていませんでした。
このような観測上、限りなく透明に近い銀河は「超拡散銀河(UDG:Ultra-Diffuse Galaxy)」と分類されます。
特に、ぬーべーは、他の超拡散銀河の10倍暗い矮小銀河であり、同程度の星を持つ銀河と比べると10倍以上の領域に広がっているといいます。
つまりぬーべーは、星の密度が異常に低い小さい銀河なのです。そのためこの銀河は「超拡散矮小銀河」と呼ばれます。
研究チームは、その異常性を、他の有名な天体とぬーべーを比較して、次のように述べています。
「銀河ぬーべーは、天の川銀河の3分の1の大きさですが、質量は小マゼラン雲と同じくらいです」
また、一般的に見られる銀河では、星の密度が内側の領域で最も大きく、中心から外側へと離れるにつれて密度が急速に小さくなっていきます。
しかしモンテス氏によると、「ぬーべーの星の密度は全体でほとんど変化せず、それゆえ、ぬーべーは非常に暗い」ようです。
この超拡散矮小銀河であるぬーべーは、次の経緯で発見されました。
最初、研究チームは、可視光で全天の一定の領域を測定して宇宙地図を作るプロジェクト「スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)」によって収集された画像を再分析した時に、何年も気づかれなかった小さな異常を発見しました。
その後チームは、アメリカのウェストバージニア州にある世界最大の可動式電波望遠鏡「グリーンバンク望遠鏡(GBT)」と、スペインのラ・パルマ島にある口径10.4mの反射式望遠鏡「カナリア大望遠鏡(GTC)」を使用して画像を取得しました。
その結果、この小さな異常が、実は「星が拡散した矮小銀河」だと判明したのです。
ちなみに、このぬーべーは、現段階で地球から3億光年はなれた位置に存在すると推定されていますが、発する光が弱く正確な距離を測るのが困難なため、今後、他の望遠鏡を用いてその正確性を確かめる予定です。