「好意ギャップ」は長時間会話しても消えず、半年以上続く
では会話の時間を延ばし、相手の関心・興味の手がかりを得られる機会を増やせば「好意ギャップ」が生じなくなるかもしれません。
研究チームはこの疑問を検討するため、会話時間に違いを設け、実験を行っています。
参加者102名で、2名1組でペアを組み、最大45分以内で好きなだけ会話をし、最後に相手の好感度と会話をどれほど楽しんだかを評価し、また相手は自分をどれくらい好きと思っているか、そして会話を楽しんだかを予測しました。。
そして実験者は会話時間に基づいて、参加者を①短い会話、②中程度の会話、③長い会話の3つのグループに分け、実際の好意度、会話の楽しんだ程度と予測の差を比較しています。
実験の結果、会話時間に関わらず、実際よりも自分に対する相手から好感度と会話の楽しさを過小評価する傾向がありました。
また研究チームは「好意ギャップ」はどれくらいの期間持続するのかについても検討を行っており、初めて会話したときから5カ月後まで「好意ギャップ」が消えないことが分かっています。
研究チームは「会話などの社会的な相互関係において、人は慎重になり、自分が相手にどのような印象を抱かれているのかに関して確信が持てず、否定的な評価を下してしまう。自分の能力や容姿などの他の分野では楽観的であるのにも対し、会話に対しては悲観的になってしまうのは驚きだ」と述べています。
自己評価が「他の人が存在するかどうか」の影響を受けているのではないかと研究チームは仮説立てています。
つまり、自己評価は誰もいない場合よりも、会話相手が存在する際に慎重になり、自分に対し否定的になるというものです。
研究チームは「私たちは自己保護のために悲観的になる。相手が自分に対して好意を持っているという確実な事実が分かるまで、相手は自分のことを好きではないと考えるのだ」と述べています。
たしかに自分が思っているよりも相手が自分のことを嫌っている事実は耐え難いので、過度に悲観的になってしまうもうなづけます。
この結果を踏まえて考えると、会話中及び後に感じる「自分は嫌われているのではないか」「相手は楽しくなかったのではないか」という不安は杞憂である可能性が高いと言えるでしょう。
自分は好意的に思っているのに、なかなか相手との距離が縮まらないなと感じる場合、それは相手の抱く好意ギャップが関連している可能性もあります。
また自分自身も好意ギャップを抱えている可能性を考えると、ほとんどの人は出会ってから相手と打ち解けるまで5カ月近くかかると言うことも出来るでしょう。
今回の研究結果において重要な点は、ほとんどの場合、自分が思っているほどには、会話相手は、あなたを悪く思っていないということです。
初対面の相手が抱く自分の印象に不安を抱えるのはあたり前のことです。しかしそこで勇気を出して積極的になることが、相手と仲良くなる早道なのでしょう。