MBTIテストの分類イメージ。
MBTIテストの分類イメージ。 / Credit:canva,いらすとや,ナゾロジー編集部
psychology

人気の16タイプ性格診断「MBTI」が科学的根拠に乏しいと言われる4つの理由

2024.06.13 Thursday

こんな性格診断の画像を見たことはないでしょうか?

これはMBTIと呼ばれていて、思考と行動のパターンを4つの次元に分け、16のタイプに分類する性格診断です。

ネットで「MBTI」と検索すると、一番上に出てくる「16 Personalities.com」は無料で診断でき、自分の性格タイプをかなり詳しく知ることができるためSNSを中心にかなり人気が高まっています。

しかしこの16 Personalities」の性格診断テストは、実は正式なMBTI®ではないのです。

日本MBTI協会は、注意喚起をするため「16 Personalities性格診断テストはMTBI®とは似て非なるものである」という趣旨の声明文を公開しています。

ただ心理学の領域では、正式なMBTI®も性格検査としての信頼性や妥当性、ベースとなった理論に関しては疑問が呈されているようです。

本記事では無料で受けることができる性格診断テストを「MBTI(あるいは16 Personalities)」、その元ネタである正式な性格診断を「MBTI®」と区別し、その登場した歴史と、性格診断としての科学的根拠があるのかについて解説していきます。

Why using Myers-Briggs at work Might Be a Terrible Idea (MBTI) https://www.psypost.org/using-myers-briggs-work-might-terrible-idea-mbti/ Myers-Briggs https://www.psychologytoday.com/us/basics/myers-briggs
Evaluating the validity of Myers-Briggs Type Indicator theory: A teaching tool and window into intuitive psychology https://doi.org/10.1111/spc3.12434 The Big Five Facets and the MBTI: The Relationship between the 30 NEO-PI(R) Facets and the Four Myers-Briggs Type Indicator (MBTI) Scores https://doi.org/10.4236/psych.2022.1310095 Validity and Reliability of the Myers-Briggs Personality Type Indicator: A Systematic Review and Meta-analysis https://www.scirp.org/reference/referencespapers?referenceid=3245993

無料で診断できる「16 Personalities」は正式なMBTI®とは異なる

4文字のアルファベットと共に「管理者」とか「論理学者」などのタイプに分けて、性格診断してくれるサイトを利用したことはないでしょうか?

これはMBTIと呼ばれる性格診断テストで、質問項目が多く、詳細に正確のタイプや分析結果を表示してくれるため、X(旧Twitter)などを中心に拡散され、診断結果を共有して多くの人が楽しんでいます。

これについては、分析結果がかなり細かいので「なんだか信頼できそう」と感じている人もいるでしょうし、逆に「この結果は本当に信頼できるの?」と疑っている人もいるでしょう。

そんな多くの人が無料で受けているMBTIの診断ですが、実は正式なMBTI®ではありません。

正式なMBTI®は有料で、診断を受けた後にMBTI認定ユーザーによるカウンセリングを受けるなど、無料版の「16 Personalities」の性格診断テストとは大きく異なります。

本家であるMBTI®(Myers-Briggs Type Indicator)は、米国の作家キャサリン・ブリックス(Catherine Briggs)氏とその娘であるイザベル・マーヤーズ(Isabel Myers)氏により開発されました。

キャサリンとイザベルは心理学者ユングの認知機能を分類する理論に魅力を感じて研究を行い、一般には難しすぎるこの内容をわかりやすく整理してMBTI®︎性格タイプ分類テストを開発しました。

ただユングなどの研究をしていた二人ですが、正規の研究者というわけではなく大抵は作家として紹介されています。

MBTI®︎では、個人の性格を、興味関心の方向、物事の見方、判断の仕方、外界との接し方の4指標で捉え、それらの組み合わせから16タイプに分類します。

16タイプ分類の基準になる4つの指標。
16タイプ分類の基準になる4つの指標。 / Credit: Canva

米国では、自己分析の手法として一定の理解が得られており、大手企業の研修や、学生時代のキャリア形成支援の一環としてMBTI®が用いられていることもあるようです。

日本で流行しているのはこの本家MBTI®ではなく、これを元ネタとして作られた16 Personalities性格診断テストのMBTIです。

最初に述べた通りこのMBTIについて、日本MBTI協会は、「16 Personalities性格診断テストはMTBI®とは似て非なるものである」と似ているだけで別物であると述べています。

ではMBTIはどういう理由で日本で流行りだしたのでしょうか?

日本でMBTIの関心が高まったきっかけは、韓国アイドルのBTSだったとされています。

YouTubeにて、2022年5月6日にBTSメンバーそれぞれがMBTI診断をする動画が投稿され、広く日本で知られることになったのです。

Google TrendsでMBTIの検索ボリュームを見ても、2022年から徐々に検索数が右肩上がりに増えてきています。

そのためか、いまやinstagramやTikTok、YouTubeでMBTIに関するコンテンツが増えています。

特に「性格が悪いMBTIランキング」や「相性が良いMBTIの組み合わせ」など、人をタイプに当てはめ、優劣の順序を決めるようなコンテンツが目立ちます

本来のMBTI®の目的は、MBTI認定ユーザーの支援を借りながら、自分自身の行動・認知への考えを深め、自分と異なる他者への理解を促すことであるため、MBTIの方は本家の開発者の意図とはだいぶズレた方向で盛り上がっていると言えるでしょう。

もちろん自分自身を見つめ直したり、自身への理解を深めるためにMBTIの性格診断を楽しんでいる人達もいるでしょうが、いずれにせよこの診断テストを利用した人が気になるのは、この性格診断って本当に合ってるの? という部分でしょう。

MBTIにしろ本家のMBTI®にしろ、この細かな性格診断の結果は、本当に科学的根拠があるものとして信じてよいのでしょうか?

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