画像
親と感情的な距離がある人は「子供を持たない」選択をしがち / Credit:Canva
psychology

「親との感情的距離が遠い人」は子どもを持ちたがらないと判明

2025.05.06 11:30:15 Tuesday

「子どもは欲しいと思わない」

そんな言葉を耳にする機会が、昔よりずっと増えてきました。

経済的な不安やキャリアの優先、ライフスタイルの多様化など、子どもを持たない理由はさまざまに語られていますが、実はもっと深い心の動きが関係しているのかもしれません。

アメリカのイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)の研究チームが、18,000人以上を対象とした大規模調査を行い、ある重要な傾向を明らかにしました。

それは、「親との感情的な距離感」が、将来的に子どもを持つかどうかの判断に影響しているというものです。

研究の詳細は、2025年3月28日付の『Personality and Social Psychology Bulletin』誌に掲載されました。

Avoidant attachment to parents linked to choosing a childfree life, study finds https://www.psypost.org/avoidant-attachment-to-parents-linked-to-choosing-a-childfree-life-study-finds/
Attachment Orientations Predict the Likelihood of Choosing to be Childfree and the Reasons for Not Wanting Children https://doi.org/10.1177/01461672251322842

出生率の低下の裏側にある「心の問題」とは?

画像
出生率の低下が問題視されている / Credit:Canva

近年、先進国で出生率の低下が社会問題になっています。

特に日本や韓国などでは、若者が結婚や出産を避ける傾向が顕著です。

政策的には、保育支援の充実や育休制度の改善など「子どもを持ちやすい環境づくり」が進められていますが、それでも「子どもを持ちたくない」と答える人は少なくありません。

なぜでしょうか。

研究者たちは、これまであまり注目されてこなかった「心理的要因」に目を向けました。

その中でも特に焦点となったのが、愛着(アタッチメント)スタイルと呼ばれる心理的傾向です。

愛着スタイルとは、人間関係における愛着の築き方や行動の傾向のことです。

このスタイルは主に、幼いころの親との関係によって形成されるとされています。

わかりやすく言えば、「他人にどれだけ心を開けるか」「どれだけ人に頼れるか」といった性格のもとになる部分です。

画像
人と深く関わることを避ける「回避型」 / Credit:Canva

今回の研究では、3つのタイプが扱われました。

安定型は、人と親密になるのが得意で、他者との信頼関係を築きやすい傾向があります。

不安型は、人に嫌われないか心配しがちで、相手の反応に過敏になりやすい傾向があります。

回避型は、他人との親密な関係を避けがちで、自立や自己完結を重視する傾向が強いとされます。

そして研究チームは、18,000人以上の多国籍サンプルを対象に、アンケート形式で調査を行いました。

具体的には、愛着スタイル、現在子どもを持っているか、持ちたいと思っているか、そして子どもを持ちたくない理由などを明らかにしました。

その結果、「子供を持ちたくない」と言う人に、ある共通点が浮かび上がってきました。

次ページ親との感情的距離がある人は「子供を持ちたがらない」と判明

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

心理学のニュースpsychology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!