出生率の低下の裏側にある「心の問題」とは?

近年、先進国で出生率の低下が社会問題になっています。
特に日本や韓国などでは、若者が結婚や出産を避ける傾向が顕著です。
政策的には、保育支援の充実や育休制度の改善など「子どもを持ちやすい環境づくり」が進められていますが、それでも「子どもを持ちたくない」と答える人は少なくありません。
なぜでしょうか。
研究者たちは、これまであまり注目されてこなかった「心理的要因」に目を向けました。
その中でも特に焦点となったのが、愛着(アタッチメント)スタイルと呼ばれる心理的傾向です。
愛着スタイルとは、人間関係における愛着の築き方や行動の傾向のことです。
このスタイルは主に、幼いころの親との関係によって形成されるとされています。
わかりやすく言えば、「他人にどれだけ心を開けるか」「どれだけ人に頼れるか」といった性格のもとになる部分です。

今回の研究では、3つのタイプが扱われました。
安定型は、人と親密になるのが得意で、他者との信頼関係を築きやすい傾向があります。
不安型は、人に嫌われないか心配しがちで、相手の反応に過敏になりやすい傾向があります。
回避型は、他人との親密な関係を避けがちで、自立や自己完結を重視する傾向が強いとされます。
そして研究チームは、18,000人以上の多国籍サンプルを対象に、アンケート形式で調査を行いました。
具体的には、愛着スタイル、現在子どもを持っているか、持ちたいと思っているか、そして子どもを持ちたくない理由などを明らかにしました。
その結果、「子供を持ちたくない」と言う人に、ある共通点が浮かび上がってきました。