傘付きドローン「空飛ぶ傘」を開発した発明家
どんなに一般的なアイテムでも、アイデアを生み出して最初に形にした「発明家」は存在するものです。
登場時には不格好で突拍子もない発明品であったとしても、それが後に「日常生活では欠かせないアイテム」へと拡大していく可能性もあるでしょう。
YouTubeチャンネル「I Build Stuff」の男性クリエイターは、もしかしたら、そんな最先端を走る発明家の1人かもしれません。
彼が今回開発したのは、ドローンを応用した「空飛ぶ傘」です。
ユーザーの上を傘付きドローンが浮遊して追いかけることで、ユーザーは傘を持つことなく雨をしのぐことができます。
しかし、この開発プロセスは、クリエイター1人だけで行っていたこともあり、スムーズには進みませんでした。
まず、傘付きドローンの構造からよく考える必要がありました。
単に、「ドローンの上か下に傘を装着する」だけでは、傘がプロペラによる空気の流れを邪魔し、うまく飛行できないのです。
そこでクリエイターは、傘の外側にプロペラを配置できるよう、十字型の長いフレームを持つオリジナルのドローンを設計することにしました。
何日もかけてオリジナル・フレームの設計作業を終えると、ついに3Dプリンタで形にすることができました。
フレームの素材には、軽くて強い「カーボンファイバー(炭素繊維)」を採用しているため、完成したドローンは、傘を装備しても空を飛べるほど軽くなっています。
また彼は、ドローンが安定してユーザーの上を飛び続けられるように、「GPS」や「モーターの速度調整システム」を導入しています。
そして数カ月もの試行錯誤の末にたどり着いた飛行テストでは、実際に「傘付きドローン」をユーザーの上で浮遊・追従させることに成功しました。
実際の動画を見ると、「空飛ぶ傘」が秘めているポテンシャルを感じ取ることができますね。
とはいえ、彼の手にはコントローラーが握られており、現段階で追従にはユーザーの操作が必要なのだとか。
片手で傘を持たない代わりに、両手でコントローラーを握るという結果は本末転倒ではありますが、先を見据えるなら非常に興味深い発明だと言えるでしょう。
今後クリエイターは、この「空飛ぶ傘」にカメラを追加し、コントローラーで操作しなくてもユーザーを自動で追従するよう改良したいと考えています。
今回の発明品は、あくまで個人レベルのものであり、製品化には程遠いものです。
しかし、そのアイデアと、アイデアを実現させる行動力は素晴らしいものであり、こうした取り組みの積み重ねが、新しい製品の誕生と普及に繋がるはずです。
現時点ではドローンそのものに「連続飛行時間が短い」という制限がありますが、現在話題になっている長寿命バッテリーの実現などにより、物事は加速的に進展していくかもしれません。
人混みでの使用は難しいかもしれませんが、もしかしたら近い将来、雨の中を歩く人々は「手ぶらなのが当たり前」で、その頭上には「空飛ぶ傘」が追従しているかもしれません。