新たな理論は暗黒物質なしに観測結果に合致する
既存の理論では粒子の相互作用にかかわる重力などの、自然な力の強度「結合定数」は時間が経過しても変化しないと考えられています。
また光の強度も時間を経ても変わらず、どんなに長い距離を走破してもエネルギーは失われないと考えられています。
しかし新たな理論では、この自然な力の強度「結合定数」が時間経過とともに弱まったり(CCC理論)、長距離を移動した光は疲れ切ってエネルギーを失う(TL理論)とする概念が含まれています(CCC+TL理論)。
どちらの理論も単独で用いる場合には問題がありますが、新たな「CCC+TL理論」ではその名の通り、2つを組み合わせた運用が行われています。
理論が完成すると研究者たちは、まず銀河の中心部と外縁部の回転速度が理論値と一致するかを調べました。
既存の宇宙論では暗黒物質に依存しなければ正しい回転速度を導けません。
しかし「CCC+TL」理論を当てはめたところ、暗黒物質がない状態でも中心部と外縁部の観測された回転速度に一致することが判明します。
次に研究者たちは宇宙マイクロ背景放射にみられる特殊な振動パターン(バリオン音響振動:BAO)の観測結果を使って、検証を行いました。
宇宙マイクロ背景放射にみられる濃淡のうち濃い部分はその後の銀河系性の核となり、宇宙全体の可視物質の広がりを予測することが可能です。
すると「CCC+TL理論」は、背景放射の特定の特徴と一致することが判明します。
これらの結果は「CCC+TL理論」は銀河を巡る星々の回転速度や宇宙マイクロ背景放射に至るまで幅広い領域で、観測値と一致していることを示しています。
これまで暗黒物質の存在を否定する多くの理論研究が行われてきましたが、実際に暗黒物質を排除した理論と実際の観測結果が一致した例は、今回がはじめてとなります。
また「CCC+TL理論」が成り立つ場合、宇宙の年齢は267億歳となるのですが、この点も「存在してはならない銀河」の年齢問題を解決します。
既存の宇宙の年齢を137億年とする理論では「宇宙が10億歳のときに(127億年前に)数十億歳の銀河が存在する」という矛盾が生じてしまいますが、宇宙の年齢が267億歳ならば「127億年前の宇宙に数十億歳の銀河が存在」していても問題はありません。
またCCC+TL理論が正しければ、宇宙の加速度的膨張のメカニズムも変わってきます。
既存の宇宙論では宇宙の加速度的な膨張は暗黒エネルギーのせいだと言われています。
CCC+TL理論でも宇宙の加速度的な膨張は否定していませんが、その原因は宇宙が膨張するのに連動して「自然の力」が弱まるためであると述べています。
ここで言う自然の力とは最も基本的な4つの力「重力・強い力・弱い力・電磁気力」などが相当します。
CCC+TL理論は、暗黒物質なしに観測結果と合致する理論として、かなり有力なものと言えるでしょう。
ただ宇宙物理学者の全員が新理論に同意しているわけではありません。
既存の暗黒物質に頼った宇宙論は「存在してはならない銀河」が観測されたり、遠く離れた連星の動きを予測できないなど幾つかの問題点があるのは確かですが、それ以外はおおむね上手くいっています。
そのため宇宙の年齢について公の場で発言する場合には、今のところはまだ「137億歳」と言っておいた方がいいでしょう。