初対面で脳波はシンクロするのか?
私たちは日常生活の中で、他者とごく自然に共同作業をしています。
例えば、店員さんとのやり取りや誰かと一緒に料理をつくるときなど、言葉や動作を用いて誰かと相互的な協調作業を行っています。
しかし、相手によって「この人とはウマが合うな〜」とか「この人とは作業しづらいな」と感じることがあるでしょう。
これまでの研究では、2人の間の共同作業中には脳活動に同期が見られ、特に親子や恋人ペアといった社会的なつながりが強い2人ほど、脳波のシンクロ率が高くなることが知られています。
その一方で、初対面のような社会的つながりがないペアについては、ほとんど注目されてきませんでした。
しかしながら社会学の研究者たちは「弱いつながり同士の方が強いつながり同士より、相互に伝達される情報が多様であり、新たなアイデアを生むイノベーションにつながる可能性がある」と考えています。
これはおそらく、初対面ペアにおいては互いのやり取りが習慣化・固定化されておらず、相互に知らない情報を教え合ったり、角度の違うコミュニケーションができるためでしょう。
研究者たちは、これを「弱いつながりの強さ」(Strength of Weak Ties:SWT )理論と呼んでいます。
実際、私たちの日常生活では、親しい人(家族や恋人)と過ごす時間より、見知らぬ人(店員さん)や社会的つながりが弱~中程度の知人(職場の同僚や先輩)と交流する時間の方が多くなりがちです。
そこで早稲田大学の研究チームは今回、初対面や知り合いレベルのペアに焦点を当てた調査を行いました。