魚の社会に「罰則の文化」はあるのか?
人間社会では、親のしつけから法的な刑罰に至るまで幅広く罰が見られます。
宿題をサボったからおやつ抜きとか、スピード違反で免停とか、おそらくほとんどの人が大なり小なり、何かしらの罰を受けた経験があるでしょう。
しかし罰を受けることでルールを守る大切さを思い知り、家庭内や社会秩序の安定へとつながります。
その一方で、ヒト以外の社会性を持つ動物において「罰則の文化」があるのかどうかは大きな関心事でした。
そこで研究チームは今回、ヒトと同じように両親以外の個体がヘルパーとして子育てを手伝う習性を持つ生物に注目しました。
それがスズキ目カワスズメ科の淡水魚である「ネオランプロログス・サボリ(Neolamprologus savoryi)」です。
学名に「サボリ」と入っているのが何とも皮肉ですが、この魚はある程度大きくなった子供がヘルパーとなり、自分の両親の子育てを手伝うことで親のなわばり内に居続けることができます。
ここでいうヘルパーの手伝い行動とは、なわばりに近づいてくる他種の魚の追い払いや繁殖巣の掃除などです。
しかし、もし子育てをサボれば親から罰を受けることが予想されます。
本研究では、両親とヘルパーを入れた実験群を8つ用意し、ヘルパーの手伝い行動を妨げる操作をすることで、親からの罰があらわれるかどうかを検証しました。
では、その実験の模様と結果を見てみましょう。