採点者の「疲れ」が否定的な評価につながっている!?
研究チームによると、順番が後ろになっていくにつれて低く採点される主な原因は、採点者の疲労だと指摘しています。
確かに何十人も採点を続ける教師は、後半になるにつれてどうしても疲れてしまいます。
その結果、彼らは不機嫌になるだけでなく、注意力が低下した状態で採点することになるのです。
研究チームは、採点の順番が後半になるにつれて、採点者が否定的で礼儀に欠けるコメントをしてしまう傾向があることも発見しました。
そして、これら採点者の傾向は、正解と不正解がはっきりしている選択問題では生じず、記述式問題で特に影響が出やすいと言えます。
実際、今回の分析でも、順番による評価格差は「社会科学」「人文科学」などの科目で顕著であり、「工学」「医学」などの科目への影響は小さかったようです。
社会科学などの課題では、解釈の幅が広く、採点が難しいものです。
不機嫌で注意力が低下した採点者は、これらの科目で無意識に低い点数をつけてしまうのでしょう。
とはいえ研究チームは、「教師たちを責めるつもりではない」ことも伝えています。
膨大な量の答案用紙を採点していくにつれて疲れてしまうのは、しょうがないことだからです。
解決策として、研究チームは、教師たちの作業負担を軽減させるよう勧めています。
場合によっては、追加の採点者を雇い、大勢で採点する必要があるかもしれません。
さらに、いつも出席番号順に採点するのではなく、ランダムな順番で採点することも提案しています。
そうすることで、特定の生徒たちがいつも不利になることを防ぐことができるというのです。
今回の研究は、アルファベット順にもとづくものでしたが、同じ傾向は、日本における五十音順の出席番号でも見られる可能性があります。
ランダムな順番で採点されない限り、「渡辺さん」や「山口さん」たちは、成績の面で、やや不利なのかもしれません。