未来に楽観的な人ほど、先延ばし癖が深刻化しない!
本調査は日本の参加者296名(男性137名・女性159名・年齢20〜29歳)からデータを収集しました。
これまでの知見で、先延ばし癖は特に若い世代に集中して見られることが知られているため、今回は20代を対象にしています。
チームはまず、先延ばし傾向を測定する「日本語版Pure Procrastination Scale」を用いて、参加者の先延ばしレベルを評価。
上位25%を「深刻な先延ばし」、真ん中50%を「中度の先延ばし」、下位25%を「軽度の先延ばし」と分類しました。
深刻な先延ばしほど、先ほど述べたように「自尊心や幸福度の低下、罪悪感やストレスの増大」が起きやすいと考えられます。
この分類後「時系列的ストレス観」と「時系列的幸福観」について評価しました。
ここでは参加者に対し、自身の過去・現在・未来のさまざまな時間軸(過去10年・過去1年・過去1カ月・過去1日・今この瞬間・明日・この先1カ月・この先1年・この先10年)におけるストレスレベルと主観的幸福度を9段階で測定してもらいました。
質問例としては「過去10年間でどれくらいストレスを感じましたか?」「今この瞬間どれくらい幸せを感じていますか?」「この先1年でどれくらいストレスを感じると思いますか?」などです。
そして参加者ごとに時間観のパターンを分類したところ、「時系列的ストレス観」は次の4タイプに分けられました。
・下降型:「未来にいくにつれてストレスは減る(少なくとも過去よりは増えない)」と考えるタイプ
・上昇型:「未来にいくにつれてストレスが増える」と考えるタイプ
・V字型:「今が1番ストレスが低くて、そこから過去と未来に離れるにつれてストレスが増える」と考えるタイプ
・への字型:「過去のある1点でストレスが1番高く、そこから未来にいくにつれてストレスは減る」と考えるタイプ
参加者で最も多かったのはV字型でした。
そして、この中で特に「未来にいくにつれてストレスは減る」と感じている「下降型」グループは、深刻な先延ばし癖を持つ人の割合が大幅に低いことが明らかになったのです。
反対に「未来にいくにつれてストレスが増える」と感じている「上昇型」グループは、深刻な先延ばし癖持つ人の割合が最も高くなっていました。
他方で「時系列的幸福観」については、下降型・上昇型・V字型・平坦型(どの時間軸でも幸福度は一緒)の4つに分類されましたが、先延ばし癖との有意な関連性は認められませんでした。
以上の結果は、未来のストレスに対して楽観的に考えている人ほど、深刻な先延ばしになりにくいことを示すものです。
逆に先延ばし癖のある人は、自分の将来について悲観的な見方をしすぎているのではないでしょうか。
実際「この先にストレスフルな出来事が待ち受けている」という考え方は、めんどくさがり屋や完璧主義者の基本姿勢にもつながっていると考えられます。
多くの作業は準備や取り掛かるまでが大変とよく言われます。
そのため何か作業に取り掛かるときは、「ああ、どんどん大変になっていく」と考えず、最初は大変だけどある程度やればスムーズに進むだろうとイメージすることが大切なようです。
先延ばしが辞められない人は、「まあ、なんとかなるさ」と気楽に考える癖を付けることが解決の秘訣になるでしょう。