性病の感染力にゾンビ化による行動支配が加わって最強にみえる
性病の感染力にゾンビ化による行動支配が加わって最強にみえる / Credit:Lovett B et al., PLoS Pathogens (2020)CC BY 4.0
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セミをゾンビ化させる恐怖の菌「マッソスポラ」はオスにメスの振りをさせて同性も襲う (2/2)

2024.06.10 00:00:00 Monday

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ゾンビ化の代償は進化のドン詰まり

マッソスポラがどのようにしてオスのセミにメスの求愛行動をさせるかはまだわかっていません。

なぜならば、マッソスポラはセミの胎内で生きることに特化しすぎているために、通常の培地では育てることができないからです。

またライフサイクルも13年~17年と極めて長く、通常の任期付き博士研究員が取り組むことはできません(一回でも実験に失敗すると次のチャンスは17年後)。

しかし近年になって、マッソスポラが幻覚物質であるシロシビン(マジックマッシュルームの主成分)と、覚醒剤の一種であるカチノンを生産していること判明しています。

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Credit:wikipedia1.wikipedia2

このため、マッソスポラの行動支配に、これら精神作用のある物質が関与している可能性も浮上してきました。

宿主の行動を支配して別個体の宿主を次々に感染させるゾンビ化は、にとって有効な戦術であると考えられるでしょう。

しかし意外なことに、ゾンビ化は感染の主流ではなく、非常に限られた菌やウイルスのみでみられます。

その主な原因としてあげられるのが、ゾンビ化が極端な進化の結果であるという事実です。

先に述べたように、マッソスポラはセミの体内で生きることに特化しすぎたせいで、他の菌ならば容易に適合できる人工的な培地での生存能力を失ってしまいました。

またゾンビ化を主な繁殖戦略として選んだ場合、ゾンビ化以外の繁殖方法が制限されると共に、宿主にあわせて常に高度な宿主特異性を維持する必要性が生じ、別種の宿主に感染可能になるような進化的余裕が失われます。

進化において余裕がないということは、セミ以外の種への感染能力を獲得する余裕がないことを意味します。

つまりは、進化のドン詰まり状態なのです。

そして、そのような行き過ぎた進化は絶滅や環境変化のイベントに対して極めて脆弱となるでしょう。

ゾンビ型感染を引き起こす真菌は強いと思われがちですが、実は適応能力と進化の可能性を失った、非常に儚い存在だったのです。

なお2024年には、米国では221年ぶりに2つの周期ゼミの発生が重なってセミが大発生しましたが、そこでもこの菌の感染が広がったと言われています。

生存戦略に素数を取り込んだ「素数セミ」の羽化周期が重なり今年”1兆匹”が一斉羽化する!

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セミをゾンビ化させる恐怖の菌「マッソスポラ」はオスにメスの振りをさせて同性も襲う (2/2)のコメント

ゲスト

幻覚剤と覚せい剤を生体合成できるということはこの寄生菌をうまいこと使えばそれらの物質を得放題…。
でもマフィアとかが人間相手にそれを売るってほどには作れないのでしょうね。

鈴木

セミの行動のコントロールよりも、菌の生活史に興味があります。
感染セミの遺骸から抜け出して地中深くに浸みこみ、地中深くのセミ幼虫に取りつくには、セミ幼虫がいそうな木の幹ちかくで感染セミを殺さなくてはならないし、絨毯爆撃のように相当数の胞子をばらまく必要があり、地中深く入り込んでゆくには、何らかの運動性が必要でしょう(あるいはミミズに耕かされてもミミズ消化管内を生きて通りぬける生命力)。
セミの適応戦略として、セミ成虫個体の生命は短くセミ成虫個体群がワイて繁殖期を終える期間も短いので、寄生菌も感染・繁殖に使える時間も限られれています。爆発的な感染力・繁殖力がないと、菌の生活史が回りそうもないように見えます。どうやって共振化したのでしょう?

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