「未来の超高層ビル」コンペの受賞作が発表される
eVoloが開催する超高層ビル・コンペティション「Skyscraper Competition」は、2006年に創設されて以来、毎年行われてきました。
このコンペでは、テクノロジー、素材、空間構成などに関する斬新なアイデアが求められており、先見性のあるアイデアが表彰されます。
今年のコンペでは、206件の応募作品の中から3件の優勝作品と14件の佳作が選出されました。
明らかに現実的ではないデザインのビルが登場しますが、固定観念にとらわれない建築アイデアは、私たちの目と頭を刺激してくれます。
さっそく、優勝作品を見てみましょう。
Urban Intercropping
優勝作品の1つ目は、「Urban Intercropping」という作品です。
中国の Penghao Zhao、Hanyu Sun、Sinuo Jia、Jingxuan Li、Songping Jing、Yibo Gao、YuJie Zeng、An Jiang 氏らによって提出されました。
都市部では多くの高層ビルが建てられますが、農業からはますます遠ざかります。
この超高層ビルのアイデアでは、それら農業離れの課題に対処しています。
都市部に敷き詰められたビルには、通常の居住エリアだけでなく、食料を栽培するための温室が備わっています。
それら温室はビルとビルの隙間に配置されています。
都市部におけるわずかな隙間やそこで得られる光エネルギーを有効活用するデザインなのです。
Streamline Concerto
優勝作品の2つ目は、「Streamline Concerto」です。
中国から参加したJianwei Zhu、Haoyu Liu Yi Liu、Yanchu Liang氏らの作品となっています。
これは中国の北部を流れる2番目に長い川「黄河(こうが)」における環境問題と洪水に焦点を当てたデザインです。
通常の高層ビルとは大きく異なり、蛇行する川の流れに沿って作られる堤防のような建物です。
この長い建物が、洪水の発生や砂嵐を防ぎ、周辺地域を保護してくれるのだとか。
Ocean Lungs Skyscraper
優勝作品の3つ目は「Ocean Lungs Skyscraper」であり、エジプトのMohammed Noeman Coutryら大規模なチームによって作成されました。
この作品では、高さ1000mの世界一高い超高層ビルが提案されています。
しかし、地上から空へとそびえ立つのではなく、水の中に海底へ続くように建設されます。
建物全体が特殊なフィルターで覆われ、世界中の海からCO2やその他の汚染物質を除去することができるのだとか。
人間の住処としてだけでなく、海洋の浄化装置として役立てるというのです。
佳作にも革新的なデザインばかり
14の佳作にも、印象的な作品が数多く選ばれています。ここではそのほんの一部をご紹介します。
上の画像は、中国のZhengsheng Pu氏らの作品「Cloud Net Above The Three Gorges」です。
まるでクモの巣の上に作られた都市のような構図ですが、これはダム周辺の生態系を守るためのアイデアです。
過去にはダム建設とダム周辺での人間の活動が、生態系に深刻な影響を与えたようです。
このアイデアでは、そのような影響を無くすため、人間の活動を空中に移しているのです。
上の画像は、中国のKai Xu氏らの作品「Air Catcher Skyscraper」です。
地球規模の大気汚染に焦点を当てたアイデアであり、このビルは、その名前の通り、高所から綺麗な空気をとらえることを目的としています。
ビルの外壁や屋根には空気を集める装置が付いており、風力発電に利用したり、より綺麗な空気を住民に提供したりできるのだとか。
「地上の空気が汚染されたとしても、高所から綺麗な空気を得ればよい」ということなのかもしれませんね。
eVoloでは、他にも数多くの佳作の作品が掲載されています。
もしかしたら将来、これらのアイデアの中から、現実の超高層ビルとして採用されるものがあるのかもしれませんね。
資本主義だと区分所有で登記されることになるからこれらの建物は全部メンテナンスが困難になる
所有権が軽んじられた国でしか採用されない建物ばかりだね。