シンプルだけど自由の女神像を跳び越えるかもしれない!
開発されたロボットは、上部が重く、下部が軽くなっています。
そして折り曲がる足の間には地面と平行にバネが装備されています。
足が開くことでバネが伸びて弾性エネルギーが蓄えられます。
そのエネルギーが解放されると、足はまっすぐになろうとし、垂直方向への強い推進力に変わるのです。
研究チームによると、この設計であれば、ロボットの足が地面から離れるタイミングが早くなることも遅くなることもなく、十分な弾性エネルギーを運動エネルギーへと変換できるという。
実際、設計理論を実証するために作られた高さ40cmのロボットは、1.6m以上ジャンプできました。
大して高く跳べていないように思えますが、研究チームによると、「この設計を最適化させれば、将来的に120mの高さまでジャンプできるロボットが開発できる」とのこと。
それはこのロボットが自由の女神像(台座を含めて約93m)を容易に跳び越えられるということです。
もしその未来のジャンプロボットを月面で用いるなら、200mの高さをジャンプできることにもなり、ロケットの打ち上げ機構に取り込むなど宇宙開発の面で活躍が期待されています。
研究者はこうしたロボットの設計の難しさについて次のように語っています。
「ロボットの形状については、考えるべき問題はたくさんあります。例えば、カンガルーのように地面を蹴るための脚があった方がいいのか? それとも巨大なバネを備えた人工ピストンのようなものにすべきか?
ダイヤモンドのように単純な対称形にすべきか、それとももっと曲線的で有機的なものにすべきか?
さらにロボットのサイズはどうするべきか? 小型ロボットは軽くて機敏ですが、大型ロボットはより強力なジャンプのために大きなモーターを搭載できます。なら最良の選択肢はその中間でしょうか?」
ちなみに2022年には、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の研究者たちが、バネとモータを利用したジャンピングロボットを開発しており、その時の記録は30mを越えています。
こちらの研究では似たようなメカニズムを利用しつつも、ボールのような変わった形状を採用しています。(以下のリンクから確認できます)
原理はいくらか似ているものの、UCSBの設計したロボットの方が実験では現状はるかに高く跳べています。ロボットの形状をどのように最適化させていくかは、この研究の核となる重要な問題なのです。
今回の研究者らは、性能を大幅に向上させる実用的な設計の1つを発見しましたが、まだジャンプの方向を制御するという課題をクリアできていません。
こうした問題を設計の最適化でクリアできればより高いジャンプを実現できるようになるでしょう。
また研究チームは、1回目のジャンプ後の着地時の運動エネルギーを利用して、ロボットが次のジャンプに向けたエネルギーを充電する方法も検討しています。
これは、宇宙ミッション用にロボットを開発する上でも重要となる部分でしょう。
今後どういったロボットがジャンプの最高記録を塗り替えていくのかは分かりませんが、私たちの想像を超えた驚くべき高さまで飛び上がるロボットが登場するかもしれません。