腰痛に苦しむ日本人
腰痛は日本人の多くが抱えていて、業務効率や日常生活に支障を与える主要な要因になっています。
例えば、厚生労働省が行った国民生活基礎調査(2022年)を見ると、病気やけが等の自覚症状の中で、腰痛が男女ともに第一位になっています。
また、東京大学と日本臓器製薬が2019年に発表した調査を見ても、日本国内の腰痛による経済損失は年間3兆円にも上るという試算結果が出ています。
そんな、可能であれば誰もが避けたいと思っている腰痛の中でも、今回の研究は、3カ月以上痛みが続く慢性腰痛に着目したものです。
研究グループは、今回の研究以前にも、ソフトドリンクやスポーツドリンク、エナジードリンクなどの加糖飲料の摂りすぎが肥満や糖尿病などの健康に悪影響を及ぼすことや、加糖飲料の飲み過ぎと筋骨格系障害(骨密度の低さや通風など)との間に関係があることが報告されていることを述べています。
その一方で、加糖飲料の摂取量と慢性腰痛との関係を直接調べた研究がなかったことから、今回の研究に着手しました。
研究の対象は2009年から2010年の米国全国健康・栄養調査(NHANES)に参加した20歳から69歳の人たちでした。
分析に当たっては、加糖飲料の摂取量に関する回答がなかった者などは除外され、最終的に4146人が対象になっています。
加糖飲料については、対象者への食事記録インタビューをもとに評価され、ソフトドリンク、フルーツドリンク(100%ジュースは除く)、スポーツドリンク、エナジードリンク、スムージー、甘味のあるコーヒーや紅茶などの摂取量が含まれています。
また、分析では、結果に影響する可能性のある年齢、性別、人種/民族、教育レベル、体格指数(BMI)、喫煙状況、飲酒状況、身体活動レベル、病気(高血圧、糖尿病、癌)の有無、体内の炎症状態、摂取エネルギー量を考慮した上でも、加糖飲料の摂取量と慢性腰痛との関係を調べています。