上司の厳しさは「パワハラ」か、それとも「愛のムチ」か
最近では、暴力を見ることは滅多になくなりましたが、依然として、部下たちを精神的に追い詰めるパワハラ上司は存在します。
上司から「給料泥棒だ」「無能」「お前は頭がおかしい」「新人社員以下だ」などと、人格否定とも取れる厳しい言葉を投げかけられるケースは、どの国のどこの職場でも数多く存在しているといいます。
こうした横暴は許されるべきではない、と考える人は多いでしょう。
しかし、実際仕事の現場では、パワハラ的な言動が許されている上司というのも存在します。
そのようなケースでは、部下たちが上司の言動に対して「パワハラ」だと感じず、むしろ鼓舞されることもあるという。
では、同じ言動の上司に対して、部下の感じ方が大きく異なるのはどうしてでしょうか。
今回、ラウント氏ら研究チームは、2つの調査により、その原因を分析することにしました。
1つ目の調査では、アメリカにおける様々な業界の労働者576人を対象に3回のオンラインアンケートを取り、上司に対して「パワハラ」と感じるか、「鼓舞された」と感じるか尋ねられました。
その結果、厳しい上司への評価は、上司の業績や能力に大きく影響を受けていると分かったのです。
上司が部下から「優秀だ」と評価されている場合、部下は上司から「鼓舞された」と感じる傾向が強く、逆に上司の業績が落ちている場合には、「パワハラ」だと感じる傾向が強かったのです。
この結果を受けて研究チームは、168人の学生を募集し、実際有能と無能なチームリーダーの下で働いてもらい、リーダーにパワハラさせるという実験を行ったです。