「天気が悪いと関節が痛くなる」のは本当?
天候は健康状態に悪影響を及ぼすことがあります。
例えば、気温が低いと喘息の症状が悪化するという報告があります。
また2022年のアデレード大学(The University of Adelaide)の研究では、逆に気温が高いことで、不整脈、心停止、冠動脈性心疾患のリスクが高まると報告されています。
そのため関節痛に対しても、同じように「天候が関係している」と考える人は少なくありません。
実際、「雨の日には気圧が下がることで、関節内の圧力が相対的に高くなり、関節周りの神経が圧迫されやすくなる」「温度や気圧の変化からくる自律神経の乱れによって痛みが強くなる」などと説明されることもあります。
しかし、シドニー大学に所属するフェレイラ氏ら研究チームは、「寒さや雨が関節痛に影響を及ぼす」という説を多くの患者が支持しているにも関わらず、「過去の研究の大部分と矛盾している」と報告しました。
天候と関節痛が直接関係することを主張するいくつかの研究に対しても、「全体的に規模が小さく、調査期間も短い。また天候以外に関節痛に影響を及ぼす因子を適切に調整できていない」と述べています。
つまり、実際に過去の研究を調べてみると、「寒さや雨が関節痛に影響を及ぼす」説を支持しないものが多く、仮に支持していたとしてもその研究の信頼性が低いというのです。
そこで彼女たちは、より正確な結論を提出するため、過去の様々な研究で得られたデータを統合し、より高い見地から分析(メタ分析)することにしました。