1万5000人のデータを改めて分析した結果
フェレイラ氏ら研究チームは、11件の研究から世界中の1万5000人以上のデータを集めました。
これらの人々は、2万8000件以上の痛みを報告しており、そのほとんどは、腰痛、膝・股関節の変形性関節症(様々な原因により関節が変形し、炎症や腫れ、痛みが生じる)でした。
またその中には、関節リウマチ(免疫の異常により関節の痛みや腫れが生じる)や、痛風(尿酸の血中濃度が高いことが原因で、尿酸の結晶が関節に付着し蓄積する)も含まれていまいた。
そして、暑いか寒いか、湿度が高いか乾燥しているか、雨が降っているか、風が強いか、またいくつかの組み合わせ(例:暑くて湿気がある、寒くて乾燥している)など、様々な天候条件と、患者からもたらされる関節痛の報告の頻度を比較しました。
膨大なデータを用いて、関節痛と天候の関連性を改めて分析したのです。
その結果、気温、湿度、気圧、降雨量の変化は、膝、股関節、腰の痛みを強めることはなく、関節痛が新たに生じることとも関連がないと分かりました。
つまり今回の研究の結果は、「寒さや雨などの天候の変化が関節痛を悪化させる」説を否定するものとなりました。
ただし、非常に低い温度(10℃未満)条件での過去の研究はほとんど無かったため、今回の研究では、極端な天候の変化がどのような影響をもたらすのか分かっていません。
また症例に例外もありました。
痛風だけは天候の変化と関連性が確認できており、暖かく乾燥している時に痛みのリスクが高まりました。
これは痛風の痛みが一般的な関節痛とは異なったメカニズムで生じているからだと考えられます。
暖かくて乾燥した気候では、脱水症状が増加し、結果として尿酸の血中濃度が上昇。尿酸の結晶が関節に付着しやすくなるのでしょう。
しかし疑問が残ります。
それは、なぜ多くの人が「雨の日に関節が痛む」と訴えるのか? という点です。