600種類以上のウイルスが検出される!過剰に反応しないことが大切
研究チームが、96個のシャワーヘッドと34本の歯ブラシを分析したところ、それらの中に合計で600種類以上のウイルスが存在していることが分かりました。
しかも発見されたウイルスの多くは、これまで発見されてこなかった「未知のウイルス」だと考えられています。
そして、シャワーヘッドと歯ブラシでは、ウイルスの種類が重複することはほとんどありませんでした。
場所によってウイルスの種類が異なるのは、ウイルス(ファージ)たちがそれぞれ特定の細菌を好むからです。
実際、歯ブラシに存在する細菌の多くは人間の口から来るものであり、シャワーヘッドに存在する細菌の多くは周囲の環境(都市水道水に含まれる病原体を含む)から来ているため、それぞれを宿主とするウイルスの種類が異なるのも当然なのです。
ハートマン氏はこの結果について、「シャワーヘッドと歯ブラシは、それぞれ小さな島のようです。これは世の中に存在するウイルスの驚くべき多様性を強調しています」と述べました。
そして、これらのウイルスやその細菌の一部は、増殖することで人体に危険を及ぼす可能性があることも分かりました。
とはいえ未解明な部分が多く、研究チームは、「ファージとその宿主との相互作用が、人間の健康リスクに影響を及ぼすかどうかは、更なる調査が必要だ」と結論付けています。
一方で多くの科学者たちは、ファージが細菌に感染して破壊することから、ファージを使った細菌感染症の治療法を研究してきました。
ハートマン氏も今回検出されたファージを用いて、新たな治療法が生み出される可能性を指摘しています。
「ウイルス」と言う名前が付いているからと言って、その全てが私たちに害を及ぼすわけではないのです。
だからこそハートマン氏は、私たちの身の回りには、人体に悪影響を及ぼさない無関係な微生物が多く存在するので、それらに私たちが過剰反応しないよう警告しています。
今回の研究によって、歯ブラシやシャワーヘッドには、多くの細菌だけでなく、600種類以上のウイルスが存在すると分かりました。
私たちとしては、この事実に過剰反応することなく、微生物が及ぼす健康被害にだけ着実に対処していくのが良いでしょう。
ハートマン氏は、歯ブラシを定期的に交換したり、シャワーヘッドを洗剤を使って定期的に清掃したりすることを勧めています。