細菌とウイルスの違い
細菌とウイルスは同じ微生物に含まれますが、細菌が細胞を持ち、細胞分裂により自己増殖できるのに対し、ウイルスは細胞を持たず、宿主細胞の中でしか増殖できません。
大きさも全く異なり、細菌が1~10μmなのに対し、ウイルスはその1/10~1/100のサイズです。
細菌学のスペシャリストだった野口英世が最後は疫病の原因を特定できずに亡くなったのも、彼の生きた時代には電子顕微鏡がなくウイルスを見ることが出来なかったからだと言われています。
それくらいウイルスは細菌と比べて小さいのです。
このように細菌とウイルスでは構造が大きく異なる他、大きさもかなり異なるため、当然ながら感染症になった場合の治療法も異なります。
では、私たちの身近にはどれほどのウイルスが存在しているのでしょうか。
今回、ノースウェスタン大学(Northwestern University)に所属するエリカ・M・ハートマン氏ら研究チームは、細菌が多く存在していることで有名な歯ブラシやシャワーヘッドに、どれほどのウイルスが存在しているか調べることにしました。
彼女は、「このプロジェクトは好奇心から始まりました」と述べています。
研究の対象となったウイルスは「ファージ(バクテリオファージ)」と呼ばれるものです。
ファージは、細菌に感染してその細胞内で増殖するウイルスであり、宿主となる細菌が生存する場所であれば、どこにでも存在すると言われています。
そのため、細菌の多い歯ブラシやシャワーヘッドにも多数存在すると考えられます。
では、実際にどれほど多様なウイルスが存在したのでしょうか。