サイコパスが反省しないのは「痛み」に鈍感なせい?
サイコパスは、日本語で精神病質(psychopathy)とも表現される心理特性を指します。
サイコパスの主な特徴としては、
・感情が希薄で、他者への共感能力が低い
・行動が衝動的で、社会のルールに従わない
・平気で嘘をつき、他人をすぐに騙す
・自責の念が欠如しており、過ちは周囲のせいにして、人を支配しようとする
などがあります。
そしてもう一つ、精神病質の大きな特徴として挙げられるのが「間違いや罰則から学ばず、自分の誤った考えや行動を修正しない」ことです。
しかしなぜサイコパスが自らの過ちから学習できないのか、そのメカニズムはよくわかっていません。
そんな中、研究チームはある一つの仮説を立てました。
それは「サイコパスが痛みに対して鈍感であるために、自らの過ちを正そうとする意思決定が阻害されているのかもしれない」というものです。
痛みはしばしば、私たちに自身の過ちを反省させて、思考や行動の修正を促すための媒介として機能します。
これは皆さんも昔から散々経験してきたことでしょう。
例えば、子供時代に悪いことをしたら親に引っ叩かれたでしょうし、大昔から古今東西、罪人は鞭や警棒で罰を受けるのが常でした。
もちろん、現代は倫理的に体罰が禁止されており、他人から罰として痛みを与えられる機会は少なくなっていますが、それでも最初の例で示したように、自らの「バカ」な行動の見返りとして痛みを受け、そこから学習することは今でも多々あるはず。
このように、痛みは生物学的にヒトに対して反省と学習を促す重要な役割があるのです。
その一方で、サイコパスは身体的な痛みに鈍感であることがいくつかの研究で示唆されています。
精神病質の傾向が強い人は一般の人々に比べて、電気ショックや熱刺激といった痛みに対し痛みを感じにくく、回避行動もあまり取らないのです。
皆さんも映画などで、サイコパスな殺人鬼がいくら殴られたり蹴られたりしても、ニタニタ笑いながら迫ってくるシーンを見たことがあるかもしれません。
これらを踏まえると、サイコパスは痛みを感じにくいがゆえに、過ちの反省と学習が阻害されている可能性があります。
そこで研究チームはこの仮説の真偽を実験で検証することにしました。