世界で最も希少な鉱物は「チョートゥー石」
しかし、比較的多く存在しており、ある程度の資金があれば、入手自体はそこまで難しくありません。
では、より希少な鉱物には何が含まれるでしょうか。
「世界三大希少石」と呼ばれる「アレキサンドライト」「パライバトルマリン」「パパラチアサファイア」は、確かに希少であり、その美しさも相まって高く評価されています。
しかし、これらであっても、「世界で最も希少な鉱物」とは言えません。
なぜなら、世界で最も希少な鉱物は、これまでに1度しか見つかったことがないからです。
その鉱物の名は、「チョートゥー石(英名:Kyawthuite)」です。
やや透き通った赤橙色のこの鉱物は、国際鉱物学連合によって公式に認められた1.61カラットの標本がただ1つだけ存在しており、「世界で最も希少な鉱物」だと言えます。
チョートゥー石が発見されたのは2010年のことでした。
ミャンマーのモゴックは、様々な宝石鉱物が採れることで有名な地域ですが、そのモゴック近くのチャウンジー渓谷で、サファイア採鉱者によって発見されたのです。
他の鉱物と混じって採取されたチョートゥー石は、当初そこまで目立っておらず、サファイア採鉱者は一般的な宝石と同様に扱い、地元の市場で販売しました。
しかし、鉱物学者であるチョー・トゥー氏は、市場でチョートゥー石と出会った時、その独自性を見抜きました。
そして、この鉱物を購入。
専門家たちと協力して、その組成や特性を調査したところ、既存のどの鉱物とも一致しないことが分かったのです。
この協力により、2015年に国際鉱物学連合によって「チョートゥー石」として公式に認識され、世界で最も希少な鉱物としての地位が確立されました。
そしてチョートゥー石の科学的な説明は、2017年にロサンゼルス自然史博物館の科学者たちによって提出されました。
現在は、カットされた標本1.61カラット(0.3グラム)が、ロサンゼルス自然史博物館に保管されています。
では、世界に1つしかないチョートゥー石とは、どんな鉱物なのでしょうか。