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世界で最も希少な鉱物「チョートゥー石」 / Credit:Anthony R. Kampf(Natural History Museum of Los Angeles County)et al., Mineralogical Magazine(2017)(PDF)
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世界で最も希少な鉱物とは? (2/2)

2025.01.05 12:00:21 Sunday

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マグマが冷えて固まる中で誕生した奇跡の鉱物

専門家たちがチョートゥー石にX線を当てて調べたところ、チョートゥー石は「アンチモン酸ビスマス」という物質だと分かりました。

その化学式は、「Bi3+Sb5+O4です。

ロサンゼルス自然史博物館にあるチョートゥー石は自然の産物ですが、同様の化学組成を持つものは人工的に作ることができます。

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ビスマス(左)とアンチモン(右) / Credit:Canva

天然のチョートゥー石にはビスマス(Bi)アンチモン(Sb)が含まれており、個別にはそれほど珍しくありませんが、非常に特殊な条件下で結合します。

この鉱物は、マグマが冷えて固まった岩石「火成岩」の一種「ペグマタイト」で形成されると考えられています。

具体的に言うと、まず地下深くでマグマがゆっくりと冷えて固まり、岩石になります。

そのプロセスの末期では、ガスや水分が集まって岩石の中に空洞が作られ、その中で特殊な鉱物が成長する場合があります。

空洞に満たされた水分には、鉱物の材料(周囲の岩石の残り)が溶け込んでおり、空洞内で結晶として成長します。

このようにしてできた鉱物はペグマタイト鉱物と呼ばれ、石英や長石、トパーズ、蛍石などが作られます。

そして、チョートゥー石も同様のプロセスで形成されたと考えられています。

インドとアジアのプレートが衝突するミャンマーの複雑な地質学的プロセスが、チョートゥー石の形成に必要な熱、圧力、マグマをもたらしたのです。

また、チョートゥー石の構造は、正長石や石膏などと同じ「単斜晶系」です。

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「チョートゥー石」の構造。左図と右図は、それぞれ別々の方向から見たもの / Credit:Anthony R. Kampf(Natural History Museum of Los Angeles County)et al., Mineralogical Magazine(2017)(PDF)

画像のように、「アンチモンと酸素の八面体が形成する市松模様のシート」と「ビスマス」が平行に位置しています。

さらにチョートゥー石を構成するビスマスは非常に重い元素であり、チョートゥー石の密度は、水の8倍以上、またはルビーの2倍です。

そのため、実際に手に持ってみると、見た目よりもはるかに重く感じます。

このようにチョートゥー石は、ミャンマーの地形が生み出した特殊な希少鉱物なのです。

ちなみに、チョートゥー石が発見されたミャンマーでは、2番目に希少な鉱物である「ペイン石(Painite)」も発見されています。

もしかしたら今後も、これまでに発見されたことのない希少鉱物がミャンマーから見つかるかもしれません。

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