車の使いすぎは生活満足度を下げるのか?
心理学における「生活満足度」とは、個人が自身の生活全体に対してどの程度満足しているかを評価するものであり、幸福感を調べる指標となります。
従来の研究で生活満足度を評価する際は主に、
・仕事(仕事内容や収入、職場環境、キャリアの充実感)
・人間関係(友人や恋人、家族、同僚との関係性)
・経済状況(所得、貯金、経済的な安定性)
・余暇活動(趣味や自由時間の充実度)
・住環境(自宅や周辺環境の快適さ、緑地へのアクセス)
などの項目を対象としてきました。
しかし研究者たちは近年、日々の外出移動がどれほど生活満足度に作用しているかに関心を寄せ始めています。
中でも特に注目しているのが「自動車の利用頻度」です。
世界の先進諸国では今や、自動車を主な移動手段として使っている人が多くいます。
自動車は現代人のライフスタイルに深く根付いており、毎日の通勤やちょっとした買い物、友人や恋人とのドライブ、休日の遠出など、あらゆるシーンで役立っています。
また自動車の利便性や快適性、移動の柔軟性などが、ポジティブな感情を高めることを示した研究も報告されています。
その一方で研究者らは「過度に自動車に依存しすぎることは返って生活満足度を下げるのではないか?」と考えてきました。
例えば、徒歩や自転車でも十分に行ける距離をすべて車で移動していると、運動不足にも陥りますし、ガソリン代を含む自動車の維持費の増加、交通渋滞での騒音やストレスに晒されやすくなります。
ただ今までのところ、自動車の使用頻度と生活満足度の関連性については注目されていません。
そこで研究チームは今回、自動車依存が本当に生活満足度を低下させるのかを調べるため、アメリカの全国調査データを用いて新たに分析を行いました。