生まれた順番は「性格」に関係するの?
研究者たちは過去1世紀以上にわたって「生まれた順番が人格形成に影響するのか」との問題について議論してきました。
その中で、確かに出生順が個人の特性に何らかの作用を与えている可能性が見出されています。
初期の研究ですと、1874年にイギリスの人類学者であるフランシス・ゴルトンが、同国の科学者たちの出生順を調べたところ、その大部分が長子であったことを発見しました。
これは今日も続く「長子はIQスコアが高くなりやすい」との見方につながっています。
というのも長男長女は、最初に生まれた子供として親の関心を一身に受ける期間が長く、この間に教育や発達に関してより多くの投資を受けることがあります。
また長子はのちに生まれた弟や妹の面倒を見たり、勉強を教える立場にもなるので、IQスコアが高くなりやすいとの研究が示されています。
同じような理由で、長子は責任感が強く、リーダーシップに優れる傾向も統計的な研究で示唆されています。
これと反対に、最後に生まれた末っ子は、親の育児経験が豊かになったタイミングで生まれるため、長子よりもいい意味で力の抜けた教育をする傾向があります。
それゆえ、末っ子は伸び伸びと育つことがあり、マイペースで行動する自由奔放さと、この自由さから生じるクリエイティビティ(創造性)に優れるケースが多いです。
その反面、親や兄姉に助けられたり、頼ったりする機会も多いため、「可愛がられる存在」として甘えん坊になることも多いとされます。
しかしこうした長子や末っ子に比べて、不遇の立ち位置に置かれやすいのが真ん中に生まれた「中間子」です。
これは一般的に「中間子症候群(Middle Child Syndrome)」という呼び名でも知られています。
中間子症候群とは、長子や末っ子に比べて中間子は親から異なる扱いや見られ方をされるという考え方のこと。
特に中間子は長子や末っ子に比べて、親からあまり目をかけられないため、兄弟姉妹の中でも「頼る存在なのか、頼られる存在なのか」どっちつかずになりやすい傾向があります。
そのせいか過去の統計研究によると、中間子は家族よりも家族以外の友達や知人との付き合いに重きを置き、実家から自立するのも早いという結果が示されています。
ただこうした「出生順」と「人格形成」との関連性はあくまで統計的に示唆された傾向に過ぎず、確かな証拠はないとする研究者たちの意見も少なくありません。
そこでブロック大学らの研究チームは今回、この手の研究としては最大規模となる70万人以上のデータを使い、改めて「生まれた順番が人格形成に及ぼす影響」を調査することにしました。