メスのクジャクはどこを見ている?
オスのクジャクのアピールポイントといえば、彼らが持つ美しい飾り羽です。
この羽は鮮やかな色をしていますが、この色は、一般的な色(色素が特定の色以外を吸収することで色がつく)とは異なり、構造色によるものです。
構造色では、物物体表面の微細な構造によって、特定の波長の光が反射され、発色しています。
そして飾り羽にある目玉のような模様は、メスにとって魅力的であり、目玉の明るさや数が、交尾の成功と相関関係にあることが確認されています。
とはいえ、クジャクのメスが注目する部位は、私たち人間が注目する部位と異なります。
アメリカのパデュー大学(Purdue University)の2013年の研究では、メスのクジャク12匹の頭部に小型カメラを取り付け、彼女たちの視線を追跡しました。
その結果、メスのクジャクは、近くで求愛行動を取っているオスの「飾り羽の下部」を主に見ていると分かりました。
研究チームも、「メスの視線がクジャクの頭や頭より上に向くことは滅多にありませんでした」と述べています。
このことは、メスのクジャクが、遠くにいるオスの飾り羽全体を見て近づき、近距離では飾り羽の下部で評価していることを示唆しています。
人間の女性も、まず遠くから男性のシルエットやスタイル、醸し出す雰囲気を見て大まかに判断し、近づいた後は目や指、肌などの細かい部分で評価することがあります。
もしかしたらメスのクジャクも、そのようにして相手を見定めているのかもしれません。
また同じ研究では、オスとメスが近づいた後、オスが求愛ダンスをして飾り羽を小刻みに震わせ、振動音を鳴らすことで、メスの注意を引こうしていることも分かりました。
メスへのアピールで重要なのは、見た目だけではありません。
鳴き声を上げたり、羽の振動音を出したりして、自分にできる限りのアピールをすることが大切だったのです。
こんなに頑張ってるのに(笑)、なぜときめかないのだろう?科学的に気になる。ときめく、好みはどこで判断してるんだろう
個体差は? pic.twitter.com/mxTzzugUpD— 黒ラブ教授(科学コミュニケーター、科学(STEM)漫談する人) (@kurorabukyouzyu) November 30, 2023
まさに「全力の求愛」です。繫殖期が終わるころにオスが痩せてしまうのも納得できますね。
それでも、全てのオスがメスと交尾できるわけではありません。
動画に映っている光景は、実は日常茶飯事でした。
そんな厳しい婚活の戦いを勝ち抜いた猛者だけが、パートナーとの幸せをつかむのです。