クジャクの婚活は厳しい
こんなに頑張ってるのに(笑)、なぜときめかないのだろう?科学的に気になる。ときめく、好みはどこで判断してるんだろう
個体差は? pic.twitter.com/mxTzzugUpD— 黒ラブ教授(科学コミュニケーター、科学(STEM)漫談する人) (@kurorabukyouzyu) November 30, 2023
このXの投稿では、クジャクの婚活模様が明らかになっています。
オスは綺麗な羽を立てて、メスに見てもらおうと必死にアピールを続けています。
ところがメスは全く反応しません。
むしろ、しつこくアピールしてくるオスを迷惑がっているように見えます。
この様子を見ていると、悲しくなる男性も多いことでしょう。
華やかに見えるクジャクたちであっても、人間と同様に婚活は厳しいのでしょうか。
クジャクの求愛と交尾について考えてみましょう。
クジャクはキジ科の鳥類であり、中国から東南アジア、南アジアに分布しています。
オスは大きくて鮮やかな「飾り羽」を持っており、これを扇状に開いてメスに求愛することで有名です。
飾り羽自体は全長1.5mであり、飾り羽を含むオスの体長は1.8~2.5mになります。
またオスの飾り羽は、メスにアピールするための羽であり、繁殖期(3月~7月)が終わると抜けていき、その下の褐色の尾羽が見えるようになります。
ちなみに、メスもオスも羽を使って比較的短い距離を飛ぶことができますが、アピール用の飾り羽が生えているオスは、より短い距離しか飛ぶことができません。
つまり、オスにとって飾り羽は、求愛するためだけに準備した「究極のアピールポイント」なのです。
繁殖期間中、オスは、メスに対して鳴き声や飾り羽を使って必死にアピールし続け、なんとか振り向いてもらおうとします。
このアピールは非常に体力を使うため、繁殖期が終わるころには体重が激減するオスの個体もいます。
では、これほど必死な求愛の成功率は、どれくらいなのでしょうか。
ある動物園では、放し飼いされている約50羽のクジャクのうち、年間で母親になるメスがたったの4~5羽しかいませんでした。
これはクジャクの婚活が非常に厳しいことを示唆しています。
また、ピエール・マリー・キュリー大学(UPMC,2018年まで運営)の2005年の研究では、34羽のクジャクを約5週間にわたり観察したところ、交尾回数が一部のオスに大きく偏っていることが分かりました。
34羽のうち、12羽の異なるオスが合計24回交尾していました。
最もモテた1羽のオスは9回交尾しており、次にモテた1羽のオスは3回、その次は2羽のオスが2回、そして8羽のオスは何とか1回だけできました。
そして悲しいことに、それ以外の多くのオスは交尾できませんでした。
メスとの交尾は一部のオスたちに偏っており、その他多くのオスは必死にアピールしても、誰にも振り向かれず終わってしまいます。
「婚活のシビアさ」「特定のオスばかりモテるという事実」は、まるで人間の社会を見ているかのようです。
では、どうしてここまで大きな差が生じるのでしょうか。
クジャクのメスたちは、いったいどこを見てオスを選んでいるのでしょうか。